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『ーーーーどうか、しましたか』



ヴァレンスは銃口を向けられる理由がまるで身に覚えがないかのように首を傾げる。
向けた理由が勘違いによるものだとしたら失礼極まりないことをしていることになる。
だがそんな危険を冒してまでこんな行動に出た理由は彼の発言の中にあった。

もしかしたら偶然なのかもしれない。
表現上の問題なのかもしれない。
そう思うことはいくらでもできた。
けれどどうしても拭えない"それ"はクレスが最後に発した言葉の返事によって確信へと切り替わった。


彼のーーーヴァレンスの発言はまるで元々は2人同じ地位に居てその2人で仕事を分けていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、言っているようなものであった。
仮にそれは間違ったことではない。同じ地位にいて、同じ時期にその地位に上がり、行動を共にすることが多かった彼はーーー"アルド・アレル"と言う聖騎士は既に死んでいる・・・・・・・のである。クレス自らの手で、アレル自身の最後の望みを叶えたと言っても過言ではないだろう。仮に彼が普通の人間・・・・・だったならヴァレンスの発言にはなんの問題もない。
だが彼は『普通』ではない。"魔導師"と言う血筋は別としても。
彼は自らの魂を蝶に変え、この国の頂点に君する"アリス"の7人の候補生の1人。

そしてその者が生命を落とした時にはーーーー。




「ーーーーなんであんたが、知ってんの?」
「……?」
「なんで…、聖騎士としての仕事を2人で分担してやっていたこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・を知ってんだよ!」.


同じ候補者以外に既に死んだ、アレルを知っていた人物全員に適応される"はずの"システム。
それは他の騎士達によって痛いほど分かっている。







「ーーーーあんたは、"アルド・アレルあいつ"を覚える筈がない、記憶が完全に書き換えられる、候補者以外の人間だ…!」








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