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夜も更けて月明かりが1番高いところから降り注ぐ頃。
街の人はもちろんのこと、生きとし生ける者達は深い眠りに落ちている。
そんな中、ある1人の人物がとある建物の扉を力強くノックしていた。
時間帯が時間帯と言うのもあってうるさいぐらいに室内にも、野外にも響き渡る。
5分ほどそれが続いた頃、二階の電気が点き、階段を降りてくる音が聞こえてきた。
「っ、もう!何なのよこんな時間に!!」
声の主、エルネットはその声色に怒りを表してドアノブを捻った。
開いた扉の先に居る"誰か"に一言文句を言って殴ってやろう、とまで考えている。
「何時だと思っているの!こんなにうるさくしたら近所めいわ…」
扉を開きながらそう言ったものの、エルネットの怒りの言葉は次第に消えていく。
目に写った姿に焦りと動揺を覚えた。
「 え…?」
震える声で呟く。エルネットは辺りを見回して、誰も見ていないことを確認してから、"その人"を家の中に引っ張り込んで鍵を閉める。
「なんで貴方が…?!」
フードで見えにくいように隠していた表情であったが、"その人"は被っていたフードを外して笑みを浮かべた。
その姿は
記憶にあるあの人と全く変わっていない。
「なんで、ここにいるの…!?」
聞きなれた懐かしい声でエルネットの名前を呼ぶ。
「久しぶりだな、…、エルネット」
「ーーーーークロスビー…!」
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