prologue



「魔導師」と呼ばれるマナとの相性が特別高い種族と、「魔女」と呼ばれるイレギュラーに産まれる存在ながらも似たような種族の、2つの血を持って"僕"は産まれました。

父は決して母の前では"魔導師"の話はしませんでした。
母は父の"本来の姿"をおそらく知りません。
だから"僕"も"僕"の中に"本来の姿"の血が流れている事は告げませんでした。

正直言って話を聞く限りではあまり"魔導師"と言う存在の恐ろしさを実感出来て居ませんでした。
"僕"が成長するにつれて、"僕"を見る父の目には哀しさに似たような感情が映し出されるようになっていきました。


そしてある日、父は"僕自身を守る術"を教えてくれました。
『お前ならきっと出来る、そう遠くない未来に"使う日"が来てしまうかもしれない、だからその日まで絶対に忘れてはいけないよ』と"僕"を優しく抱きしめながら、哀しそうな、切なそうな声で告げました。


そして"その日"が来てしまったのです。
最後に見た僕の知る父親・・・・・の姿は申し訳なさそうに笑って『ごめんね』とその一言だけでした。



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