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リードルフ、西方森内。
リードルフを囲むように生い茂った草木は深いところもあれば浅い所もある。今回その浅い所には一般騎兵部隊、深い所には特別部隊がそれぞれ配置につく事になっていた。その少し離れた所で治癒部隊が待機し、魔法使い達は街の中の安全を維持するように命令された。


深い所の直ぐ近くに城が建っている。今回、現在国王が在住しているその場所が恐らく一番狙われ易いだろうと予想していた。森の中には木々が掃けた場所もあるため、そこを本拠地としている可能性も高かった。賭けに似たようなものだが、可能性としては低くはない。


現王の対応が気に食わずに罪を犯そうとしているぐらいなのだから、騎士団すらも気に食わないはずだった。

伝令が来てから10分程経った。
アレル、クレスは一緒に持ち場に向かって走っていた。


「ーーーねぇ」
「なんだよ」


走りながらぽつりと呟くように、アレルは言った。



「これが、本当に正しい事だと思う?」
「………」


答えられなかった。
現王の発言が王として正しいとは思えていないのは確かだ。

だが今は。

そんな王を守る為に命懸けで反逆者を止めようとしている。予想内では”リング”を使用してくる可能性も高い。


そこまでする程の事なのか。
”守るべき”なのは何なのか。


歩を進めるもののお互いに悩んでいた。

だがそれを悩んでいる間も、その答えを出す間もなくして茂みが揺れた。木の陰に隠れているのもすぐに分かった。数はざっと20人近くだろうか。二人を囲むようにして隠れている。


「考えてる暇もくれない、って事かよ…」
「ほんと、こう言う時は自分の役職を嫌うね」


苦笑を零し、視線を交わしながらサーベルを鞘から抜き出した。キン、と静かに響き渡ると同時に影からぞろぞろと姿を見せる。やはりそれなりの見なりをしている老若男女。年齢も性別も関係なく、ただ怒りだけを露わにしていた。

その怒りを表すかのように、腕に付けられた”リング”に嵌められた赤いオーブが煌めく。その目は光を宿さない虚ろな瞳だった。その瞳が二人を捉える。

ナイフを持つ者もいれば、鉄パイプのような棒状の物を持つ者も居る。予想は半ば的中と言った所だろうか。アレルとクレスは背中合わせに立つと、確認を始める。


「殺さない、なるべく着用者傷付けないようにしてオーブを割る。致命傷は負わせない…気絶ぐらい。それでいいんだよね?」
「ーーー今の所は、な…!」


言葉を言い切ると同時に、二人は地面を蹴り飛ばした。周りにいた反逆者達も同時に動き出す。

サーベルと他の金属がぶつかり合う音が響き渡った。


そしてほぼ同時刻に別の場所でも対立は始まっていた。





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