「トウコ?」
目の前には悩みの種が全裸で寝そべって、こちらを見ている。緑色の髪に緑色の瞳。その瞳でこちらを心配そうに眺める。
「何よ?」
愛想悪く返事してやった。
悩みの種はこちらに寄り添い優しくキスをする。ここまでしてもらっていても私には不安しかない。聞かなくても分かるくらいに愛されてる。でも本当に?
嗚呼、そうだ。男なんて信用しちゃだめ。可愛い女の子をとっかえひっかえするの。私も飽きたら捨てられちゃう。
言葉で気持ちを確認した所でどうしようも無い事に気が付いてしまった。そう考えると少しラクになった。
ぼんやりと考えていると
「ボクの事すき?」
とNに確認された。
まるで私の考えている事を読んだかのようなタイミングに心臓はドクリと跳ねた。慌てた素振りで「どうしたの?」と聞き返そうとしたが
「Nは私の事すき?」
とおうむ返し。
Nは眉を寄せて困った顔をしている。そうよね。私の想像通り「愛してると」はいってくれない。
「愛してるとは言ってくれないんだね」
Nは私の考えを受信して発言したようなタイミングで呟いた。また心臓が鳴る。
Nはトウコを強く抱き締めて、キスをする。舌を侵入させて、トウコの腰にNのそれが当たる。
「ちょっ…ちょっと!さっきしたばかりでしょ!?」
「だって、トウコ…してる時しか『好き』っていってくれない」
Nはトウコから愛の言葉を求めて上へ被さる。トウコは嫌だ嫌だと暴れた。
「男ってやっぱり女をエッチの道具だと思ってるのね」
「違うよっ!トウコに『すき』って言ってもらいたいから」
私だって「愛してる」が聞きたいのに。どう見たってお互い愛し合ってるようにしか見えないないのに、疑う気持ちは止まない。お互い何かに満たされようと必死で。
「Nなんか嫌い!嫌い!嫌い!あっちいってよ!」
大声で泣き叫んだ。「好き」と言われてもこの不安からは逃れられない。『絶対に何時までも一緒』にいられる契約が欲しかったけど、そんなのは存在しない。嫌いになればラクになれる。不安からは解放される。
「嫌い!嫌い!嫌い!」
自分に暗示をかけるように自分に言い聞かす為に叫び続けた。目の前の貴方に嫌われる為にも。
それでも貴方は私の手を握って優しく口付けてくれた。
「え…ぬ…」
私はボロボロに泣いていて、貴方も涙を流していた。
「好きだよ。」
分かってる。
ありがとう。
ごめんなさい。
愛してる。
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