歪んだリップノイズ 1/2



この国――シンドリアに尽くして何年だろうか。

それなりに尽くし、信用されていたと思ってはいたが、実際はそう甘くはなかったらしい。


なぜなら私は今、皆さんから疑いの目を向けられているのだから……


「ナマエ、どうしてこんなことを…」

なぜか全員集合している八人将の方々とシンドバッド王。彼らの視線は私の持っている血が付いた剣と、彼女の血にまみれた腕に注がれていた。
しかし、一つ言っておこう。私は何もしていないのだ。これはどう見ても私が彼女を刺したように思われるが、刺してもいないし、彼女と関わりもない。考えられる線は一つしかない。私は彼女に嵌められたということだ


わたしは言葉に詰まりながらも彼らに言った。何もやっていないということを
だが、彼らは聞く耳を持ってはくれなかった。私を嵌めたであろう張本人――マリアはこれはこれは大層な嘘泣きを醸し出し、シャルルカン様の元に行き

「シャルルカン……うっっ、あの人が…」

侍女であるのに八人将の方に対しタメ語を使い、あたかも私がやったかのように言い、泣きついている。そして騙された彼は彼女の思惑通り私を睨むのだ。

「何もやってないだと!?ふざけんなっ!この状況を見て、よくそんなことが言えるよな」

シャルルカン様は責める言葉を矢継ぎ早に言ってくるものだから、たとえ違っても、耳を塞ぎたくなった。そこに一つの声が響く。

「シャルルカンやめるんだ」

その言葉を発したのはシンドバッド王で、シャルルカン様は口をつぐむ。
王は私のことを信じてくれたのであろうか。私は王をみたが、彼の表情は依然険しいままで、私はその後発せられた言葉に衝撃を受けた


「要注意人物を地下牢へ」


ついに私は王からも見放されたのだ



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