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「シンドリアであったこと…ですか?」

「ああ、ユリが毒で倒れたことについてだが」

すまなかった。とシンドバッドはユリに頭を下げた。ユリは慌てて頭を上げるように言い、未だ浮かない顔をしているシンドバッドに優しく言った

「過ぎた話しはいいんです。今、こうやって生きていますし、毒を盛られたのがシンドバッド王や八人将の方々でなくてよかったと思っています。だからそんなに気落ちしないでください。行く場所のなかった私をこうやって置いてくれているだけで私はとても恩を感じているのですから」

このときのユリをシンドバッドは、女神かと思うくらいの優しさに包まれたと、後で話していた。納得のしたシンドバッドと黙って話しを聞いているマスルール。
しかし、1人だけ違っていた。その彼――ジャーファルは「ユリ」と一言。ジャーファルに視線を向けたユリにジャーファルはあの時の事を話した。

「あの犯人の侍女は、元からあなた1人が狙いでした。理由は……」

言葉の詰まったジャーファルにシンドバッドが続ける

「理由なんだが、どうやらその侍女はジャーファルを慕っていたらしくてな、まあ、あれだ。ユリへの嫉妬だな」

「そうだったんですか…」

確かに言われてみれば、ジャーファルさんと話し終わって1人になると視線を感じてはいたが、そういうことだったのか。と逆に理由がわかりスッキリしていた。

「私が気づかないばかりに、こんなことが起こってしまったんです。ユリにずっと謝りたかったんです。すいませんでした」

「ジャーファルさん、私はさっき言った通り気にしてません。それよりも、ヤムライハから私が倒れた後、見つけてくださったとお聞きしましたし、犯人も捕まえてくださったみたいで。ありがとうございました」

「ユリ……」

ジャーファルが感動している中マスルールがボソッと「捕まえたときのジャーファルさんは鬼でした」と言っていて、シンドバッドは急いで「ユリもこう言っていることだし、もういいよな!」と話しを変えた。

「シンドリアでの話しはこれでよしとして、今後のことだが…――」

雰囲気はがらっと変わり明日の事について話し合うこととなった。とはいえ、ユリはシンドバッドと共にバルバッドの王宮に乗り込むことはなかったので、明日は1日中部屋に閉じこもっていようとしたが、そう簡単に物事が進むことはなかったのだった。



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