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シンドバッドが無事に霧の団に入り、アリババと共にアブマドの元に向かう事を決めたその後、ユリは今から取り調べするかのように囲まれていた。言わずもがなシンドバッド達となぜかいるアラジン、モルジアナ、アリババの3人である。
まず口火を切ったのはジャーファルであり、その表情は呆れ8割、驚き2割といったところであろうか。

「えーとまず、ここまで来た経緯を言ってもらえますか」

「ヤムライハに行けと言われて来ました」

「そうじゃなくて! 最低1週間かかるのに1日もせずに来たことです!」

「姿現しという瞬間移動の魔法がありまして、それで来ました」

瞬間移動!?とここにいるユリとマスルール以外が口をそろえて叫ぶ。そして次に話しかけて来たのはアラジンであった。

「おねえさんは魔法使いなんだねー、それとおねえさんの周りのルフの量がすごいんだ。」

「君もルフが見えるの? 目疲れない?」

「ううん? おねえさんは面白いことをいうんだね」

ユリのルフの量は前にも述べた通りすごく多い。それゆえ、ユリにとっては周りに沢山の電球がチカチカしているようにしか感じない。だから前みたいに、いでよルフというよくわからない呪文を唱えることをせず、いつも通り過ごしていた。これもトリップ特典なのかもしれないが、当の本人はいたってどうでもいいらしい。

「シンドバッド王、すいませんがこの方たちは?」

いきなり話を変え、この3人と全くもって接点がなかった(アラジンは助けたのもあるが、名前は知らない)のでシンドバッドに助けを求めた。

「ああ、左からアリババ、モルジアナ、アラジンだ。それとなぜ俺が霧の団に入ったのとかさっぱり理解出来ていないよな、ここに来たら戦闘中だったし」

肯定の意を示すと、ここまでの経緯を教えてもらった。身ぐるみを剥がされて助けてもらったこと、アリババがこの国の王子であり、この状況を打破すべく戦っていたこと、モルジアナがマスルールと同じ民族であること、アラジンがマギということ。――とはいってもマギについては文献で読んだことくらいしかなく、とりあえず凄い魔法使いであるということはわかったので、ユリも自己紹介をした。

「シンドリアの食客のユリです。魔法使いで……そんな感じです。よろしくお願いしますね」

トリップという事は伏せ、簡単に言ったところでアリババが言う

「ユリさん、俺らのが年下なんで敬語使わないで下さい」
「そうだね!ユリおねえさん、アリババ君の言うとおりだよ」
「はい。私も敬語で話されるの馴れてないので…」

3人の要望により、ユリはアラジンたち3人にタメ語で話すこととなったのだ

「よろしく。アラジン、アリババ、モルジアナちゃん」

「なぜモルジアナだけちゃん付け?」

シンドバッドの問いに、可愛いからです!と意味のわからない言葉を返し、少し穏やかな雰囲気になっていたが、1人浮かない顔をしている人がいた。その人とはジャーファルであり、シンドバッドはジャーファルの気持ちを察しゴホンと一つ咳払いをした

「えー、明日はアリババ君と話をつけに行くことだし、もう戻りなさい。ジャーファルとマスルールとユリはそのまま残っているように」

子供たち3人はまだユリと話したいという表情だったが、アリババの事もあり部屋に戻って行った。


「さて、シンドリアで起こったことを話さねばならんな」





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