あのあと、どうにかしてユリを誘うことができたジャーファルは、お茶するという名の誤解を解こうと政務室に連れて来ていた。
丁度文官たちの休憩時間に来たため、人はユリとジャーファル2人のみ。
ジャーファルはどう話していこうか悩み、ユリも自分を誘うなんて珍しいと思っていた。
そして初めに喋ったのはジャーファルだった。
「シンドリアには慣れましたか?」
「はい、みなさんよくしていただいて、とてもいい国だなって思いました」
「そうですか」
……沈黙。
もうこうなったら単刀直入に言うしかないと腹を括り言おうとしたらユリがおずおずと話を切り出した
「ジャーファルさん、私なにかしてしまったでしょうか」
「……はい?」
「いえ、さっきから思いつめたお顔をしていらしたので何かしてしまったのかと思いまして…」
「そ、そんなことありません! なんといえばいいのでしょうか、 ……今から話すことは全て本当ですので聞いていただけますか?」
ユリが頷いたのを確認したジャーファルはポツリポツリと初めは疑っていたこと、今はそう思っていない旨を話した。最後に頭を下げて。
「――ということなんです。…今更ですが最初の方の無礼を許してください」
「…! 頭下げないでください! ジャーファルさんのしたことは当たり前の事だと思います。それよりも私は嬉しいです、てっきり嫌われていると思ってたので」
「まさか!嫌ってなんかないですよ」
ジャーファルは誤解がとけたことに大層喜んでいた。そしてユリも自分が勘違いしていたことに気付きホッとする。
それからの2人は話が途切れることなく、有意義な時間を過ごしていたのだった。
「――文官としての能力はいまいちですけど書類分けとかは得意ですよ。まあ、魔法を使ってぱぱっとですけど」
「それでも手伝っていただけたら嬉しいですよ、それよりも私はシンを簡単に見つけてくれる方が有り難いですけど」
「じゃあ、その時はまたお手伝いいたします」
「お願いしますね」
そしてそんな雰囲気のユリとジャーファルのせいで休憩が終わった文官たちは入るに入れなかった。――しかし、それをものともせず来た八人将のシャルルカンが
「ジャーファルさん、ユリっ!王がお呼びです!」
と入って来たのでジャーファルは名残惜しくも会話を止め、「では、行きましょうかユリ」と何時の間に呼び捨てになっていたことにシャルルカンとユリまでも驚きながらも、返事をして、ジャーファルに続いた。
シャルルカンは「(何時の間に仲良くなってんだあの2人)」と驚きを隠し切れてなかったそうな。
そしてその話し合いで一波乱起こるとは誰も思っていなかっただろう………
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