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「うわあ…本当に王宮だ」

立派な建物を前にしてユリは目を丸くしていた。そして王宮に入ると聞こえる音…そしてその音の正体は誰かがこちらに走ってくる音であった。

 
「王!!シャルルカンからとんでもない魔法使いがいたと聞いたのですが…ってあら?もしかして…!」

シンドバッドたちの元に来たのは八人将の1人、天才魔導師のヤムライハであった。

「おう、ヤムライハ。ちょうど紹介しようと思っていたところだ、その例の魔法使いのユリだ。今日から食客になることになった。ユリ、彼女は君と同じ魔法使いだ」

「…! お初にお目にかかりますユリです」

「そんなに改まらなくていいわ、私はヤムライハ。それにしてもあなたのルフの量が異常ね、こんな大量のルフ纏っている人見たこと無いわ!!」


……ルフって何?――ユリはヤムライハの話を聞き、いまいちピンとこなかった。ちなみに、ユリにはルフが見えない。一応話を合わせておきつつ、これから調べなければならない事が沢山ある。と、先の見えない情報収集にうなだれていた。顔には出さないが…
そしてただでさえ驚いているヤムライハをシンドバッドの一言で更にビックリさせることになる

「ユリは少し特殊なのか魔力の限界がない」
「なんですって!?そんなこと今まで聞いたことが無かったわ。マギでさえ周りのルフを使役できても体力の限り………ユリ、後で詳しく聞かせてくれないかしら?」

「はい、もちろんです」
「よかった!じゃあ、またあとでお話しましょう。王、ジャーファルさん止めてしまってすいません。失礼しますね」

ヤムライハはそう言うと来た道を戻った。3人には見えないが興奮が醒めない顔で…

そして再び3人になり、ジャーファルが「お部屋に案内しますので王は仕事に戻ってください」と、有無を言わせぬ形で戻し、部屋までユリを連れていき、宴の準備が出来次第呼びに来る旨を告げ戻っていった。
自分の部屋に入ったユリの第一声は

「 なにこれ、広すぎ… 」 

      。
     ○
     。
      。
     ○


それから少し時間が経ち、ジャーファルに呼ばれ共に向かう
そして意を決して扉を開けると人・人・人。てっきり八人将+王ばかりだと思っていたユリだったが、彼女が倒した南海生物により謝肉宴になった為沢山の人がいた。
隣にいたジャーファルが「みなさん、連れて来ましたよ」と言った一言により、沢山の目がユリに向く。平常心を保てるかいくらか心配になってきたころシンドバッドが救いの手を入れてくれた。

「おお!ユリ!みんなも聞いてくれ、さっき話していた食客になると言った子がここにいる彼女、ユリだ。さあ、こっちに来て一緒に食べようじゃないか!みんなも集まってくれたことだしな」

ユリはシンドバッドの近くに行き、

「本日よりお世話になりますユリです。よろしくおねがいします」

と深々とお辞儀をした。すると最初に反応したのがピスティとシャルルカンであった。

「ユリ!私ピスティ!女の子が増えてくれて嬉しい、ピスティって呼んで!」
「お前があの盗賊捕まえたんだってな!俺はシャルルカンだ、よろしく!」

2人の自己紹介を皮切りにユリは八人将全員と自己紹介を済まし、緊張も何時の間にかなくなっていた。
こういうのはなんだが家族みたいだとユリは思い、気付かないうちに笑みをもらしていたユリに、周りも温かい雰囲気になっていた。

「ユリ!!なんか魔法見せて!」

みんなが宴を楽しみ、ユリも馴染んだころ、何を思ったのかピスティは魔法を見せてとねだった。ユリも二つ返事で了承し、周りもユリに視線を向ける

「いきますね――エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)」

守護霊を作りだす呪文を唱えると杖先から銀色で半透明なユリの守護霊が出てきた。周りは目を見開いている――そのみたことの無い魔法と守護霊を見て…

「すごーいっ!これってオオカミ?」
「はい。守護霊は人様々で私はオオカミなんです。あっ、あと、この子に伝言を託すことも出来るのでたまにこの子が来るかもしれません」

これにいち早く興味を示したのはヤムライハで

「私にも出来るかしら!?」
「じゃあこんどこれも含めてお話しませんか?私もヤムライハさんの魔法気になるんです」
「…!!ここで魔法の話が出来る人がいるとは思ってもなかったわ!ええ!もちろんよ!」
「あっー!ずるい!!私も私も!!」

女子3人でキャッキャしているのを見ながら

「いいなー俺も入りたいー」
「シン、あなたは何言ってるんですか」
「もう3人の世界だな」
「…ッス」


男どもは置いてきぼりをくらっていたそうな






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