小説 | ナノ






「異世界ですか…?」
「あー、まあ、はい。そうです」


2人は今日一番の衝撃を受けていた。何者だと思っていたユリがまさか異世界から来ているなんてなんて信じがたい話だ、と。しかし同時に納得するところもあった。見たことのない魔法、そしてシンドバッドがなんとなく感じていた魔力(マゴイ)の違い。一方ジャーファルは表にだしていないが、未だ警戒心を解いていなかった。

「どうして大事なことを言わないのですか」
ジャーファルの剣幕におされながらも
「そこまで大したことじゃないのかなーと思いまして…」
「たいしたことです!シンも何か言って…」

ジャーファルがシンドバッドを見ると何やらにやけている様子でジャーファルは怪訝そうな顔をする

「そうかそうか。だから君から感じる魔力は違ったのか、それにユリは見る限り魔力が多いだろう?あの南海生物も仕留めたのも聞くまでも無い。あいつは大抵の人じゃ倒せないからな、まあ、魔法を乱発して使えることに驚きはしたが…」

ユリはあの巨大生物を倒したことがばれていたことに苦笑いし、マゴイとは魔力の事だろうと推測を立て一つの疑問が生まれる

「魔法って乱発できないんですか?」

それに答えてくれたのはジャーファルだった

「そうですね、大体の人は体力の限界があるので使える回数は限られているかと」

「そうなんですか…考えたことは無かったのですが、私は体力と魔法は別物かもしれません。魔法を乱発しても疲れる事とか発動しないとかはないので」

「なにっ!やっぱり興味深いなユリの話は!それに以前いた世界の話も気になる」

シンドバッドは内心、驚き喜んでいた。何と言っても心強い味方を作ることが出来たからだ。初めはシンドリアに何かをもたらしてくれるかもしれないと感じていたが、まさかここまでだとは想像してもいなかった。それと同時に、煌帝国に渡らなくてよかったとも思っていた。アル・サーメンにも――

ユリもユリで異世界から来たという自分を信じてくれた2人――といってもジャーファルの方はいささか疑問だがそれは置いておき、
…信じてくれた2人に少なからず驚いていた。この世界では友達も、血のつながりも、仲間もいない。楽観的な思考のユリでもやはり一人ぼっちを目の当たりにすると何かこみ上げてくるものがあった。しかし涙は流れることはなく、淡々と今の状況を理解するばかり。だから自分を少なからずとも信じてくれた2人に感謝の気持ちを抱き、シンドリアに食客として尽くそうと心に決めた。

そう決意したユリにシンドバッドは問う

「ユリ、もしシンドリアになにかあったら君にも戦ってもらうことになる。人を倒すこともあるが平気だな?」

ユリは迷いの無い目で2人を見る

「はい。以前は安息出来る時間もないほど敵と戦っていたので問題ありません。」

ユリの迷いの無い目を見たジャーファルはこの人なら信じてもいいかもしれないと感じていた。味方になったらさぞ心強いことか。きっと今日は宴になるんだろうと思いつつ、ジャーファル自身もこれからが楽しみになっていた。王の酒癖は今日も健在だろうが…

「これでシンドリアはより一層平和になるな!ジャーファル!今日は帰って宴の準備だ!」
「そうですね、残りの八人将にも紹介しないといけませんね。さあ、ユリさんも行きましょう」

「は、はい!」



     今日は宴です




(ジニー!!今日は王宮に酒を頼むぞ!!)
(はい!かしこまりました!!)

 







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