Life Kiss/ イザシズ リクエスト 血の味のキス たぬ子様へ

Life Kiss


 重ねてきた嘘とキスに耐えきれなくなって、池袋から逃げ出したシズちゃんを…俺が見つけ出すのに、1ヶ月と相当の情報料を要した。
 山の中の小さな小屋に、ガリガリになって小さくなり…微かに呼吸をするだけのシズちゃんを見た時、俺は胃の中に氷の塊を放り込まれた様な…怒りと不安がせめぎあった。

 近寄り確かめる。生きているのを確認して抱き締めた。
 シズちゃんは起きなかった。でも…何か手を打たないとこのまま死ぬだろう。
 下山する体力もなさそうな、ガリガリに痩せ痩けた体…。
 手元に何か食べる物はあっただろうかと探るが何も持ってやしなかった。
 …畜生。
 連絡したヘリは、いつここへ駆けつけられるのか…。

 唇を強く噛み締める。
 すると、噛みきった唇から一滴、ポタリと血の滴がシズちゃんの唇に落ちて白くかさついた唇に、じわりと赤が染みて潤される。

 
 ソレを見て、ゾクリと心臓が泡立ち、オレはナイフを口に含んで口の中を切りつけた。
 口腔内に溢れる血液を、ゆっくり口移しで注ぐ。

 …ゴクリ。

 シズちゃんの喉が動いて飲み込んだ…シズちゃんの体は生きようとしている。
 求める様に無意識伸ばされる舌を絡めながら、血液を与え続ける。
 出が悪くなる度に切りつけて。

 途中、一度湯に足を浸けて血流をよくしながら、無心に。

 少し顔色が戻ってきたシズちゃんに安心して…オレは一つの覚悟を決める。

 「愛してるも、嘘も、死んでも…この口から溢れる全てを君にあげるから…生きてよ。一緒に」

 グチャリ…ぐちゃぐちゃ。

 口の中でよく噛み、ミンチにしたソレをシズちゃんの口に落とし込む。

 急に固形物を飲み込んだシズちゃんは、ゆっくり目を覚ます。


 「…ぅ…っ?…ざ…や…」

 目を覚ましたシズちゃんに、オレは何も言えなくて、ただ、おはようのキスをした。



 たぬ子様へ


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