可能性に満ちた――未来。







「でもさあ、彰太郎。どうするのー?」


俺にそう問いかけるリュウタロスは、わざわざ絵を描く手を止めて、こてんと首を傾げた。イマジン体なのに様になるなあ畜生。


「そうなんだよな……いくら何でも情報が少な過ぎる」

「どうしようもないよねえ、ホント」


わかってんだからわざわざ言うなよ、ウラタロス。
どうしようかと首を捻るが、なーんもいい案なんざ浮かばない。
……まあ俺、こーゆーの疎いからなあ。
はあ、と小さく溜息をついたとき、食堂車のドアが音を立てずに開いた。


「吹っ切れたようですね、彰太郎君」

「あー、まあ。お騒がせしました」


会釈すると、食堂車に入ってきたオーナーは、その意味ありげな笑みを深くした。反射的に、身構える。


「助っ人を呼びました。良太郎君を助けるための、です」

「え、…マジすか?」


はい、とオーナーがゆっくり頷く。
その背後から、見慣れた影によく似た姿が現れた。
良太郎よりも少し幼さの残る顔付き。後ろに控えた青いイマジン。
俺を見ると近寄ってきては、片手を軽くあげた。


「久しぶり、オッサン」

「オッサン言うなコラ。……久しぶり、幸太郎」


ひらり、と手を振ると、幸太郎はちょっとばかし笑った。
その表情に、良太郎が被る。
俺が奪ってしまった。だから、俺が取り返す。もう決めたこと。絶対、やってやるんだ。

そう心で誓って、取り敢えず、久々の幸太郎にラリアットかますべく突進した。
……いや、見事に不発だったけど。









可能性に満ちた――未来。
(未だ来ぬ先に想いを馳せて)




110406
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