泡沫の様に消え――一瞬。







ただ呆然と眺めてた、その光景が、不意に遮られた。
耳を刺す金属音。見える背中は、緑と、青。


「何やってんだよオッサン!」

「こー、たろ……」

「ったく、やるならちゃんとやれよ」

「ゆーと、」


二人は俺に好き勝手言ってから、イマジンの武器を弾いた。
侑斗がそのまま追撃。幸太郎が俺の腕を掴んで、ぐん、と引っ張った。
つられて、立ち上がる。


「アンタがやるんだろ、オッサン。なら、そんな所で休むなよ」


びし、と指差されて、思わず呆気に取られた。
…変身してて良かったぜ、表情を見られずに済む。
そのまま、幸太郎は俺に背を向けて、イマジンに向かった。痛い金属音が、何度も何度も反響する。


「(オイ、彰太郎。どーすんだよ)」


脳内でモモタロスの声が聞こえた。
ガチャガチャしてて内容までは聞き取れないけど、残りのイマジンズの声も、一緒に。
思わず笑みが漏れた。そうだ、俺は一人じゃねえ。
痛む身体を叱咤して、イマジンに向かう。
急に現れたデンカメンソードは、しっかりと握って。


「悪ぃな、こっからは俺のクライマックスにさせろ」


見よう見真似で、パスをセットする。
今まで見ていたのと同じように、ライナーフォームへと変身した。
そのまま―――侑斗と幸太郎が戦うイマジンの元へ突っ込んでいく。


「おらぁっ!!」


イマジンにデンカメンソードが当たった。衝撃で、手が痺れたような感覚に陥る。
それでも、それを止めようとは微塵も思わなかった。
ただがむしゃらに、振るい続ける。


「ぐぅっ…腰抜け如きが……!!」

「何とでも言え!俺は俺だ!!」


ぱしり、と光が見えた。
侑斗と幸太郎が援護に回ってくれたらしい、イマジンに命中した光は、大きな隙を作る。
頭で考えるよりも、先に身体が動く。


「返してもらう!"俺"も!"良太郎"も!!」


渾身の力で、デンカメンソードを振り下ろした。
削れるような嫌な音と、断末魔。
それから、派手に爆発して―――イマジンは、消えた。


「じかん、が……」


砂が舞い上がるように、時間が巻き戻っていく。
壊れたものも、綺麗に、全部。
ベルトを外して、その光景を眺めた。出来たんだ。時間を、守れたんだ。


「やったじゃねーか、オッサン!」

「おう。サンキュな、幸太郎、侑斗」


そう言って、一歩踏み出したとき、ぐうらり、世界が暗転して――――――













泡沫の様に消え――一瞬。
(瞬いたひとつ、幸せの星)




110520
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