唯一心を満たすかのように。(久秀)


また、私の部屋にモノが増えた。

それは刀で、三本ずつ、水掻きのようなもので纏まっている。
綺麗な青。いや、蒼色。

そっと、触れてみた。
当たり前だが、ひんやりと冷たい。
一体、これの何処が宝だというのだろうか。


「武士の魂なのだよ、そしてそれは竜の爪だ」


聞き慣れてしまった、あんまり聞きたくはない声。
"竜の爪"とやらに目を奪われている私はそっちを向かない、けど彼は低く笑うだけで。

爪を剥がされてしまった竜はどうしたのだろう。
可哀相に、強欲な彼に喰われてしまったのだろうか。


「その竜の右目がそろそろくるだろう、なあに、同じことだ」


何時ものように笑って、無慈悲に扉は閉められた。
戻ってきた静寂。
そっと、"竜の爪"にまた触れてみる。


「あなたも、私と同じね」


主から離され、その存在意義をも果たせない宝。
それをわかりつつ、彼はそれをやめない。
私はそれをとめない。

愚かなのは、どちらか、





唯一心を満たすかのように。
(だって私はモノにすぎない)
(彼に毒されてしまったのか、)
(破壊が愉しい、などと)

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な ん だ こ れ \(^p^)/ ←

松永さん初書きー
彼は結構好きだったりします世界観が。

続く…のか?←




title:破壊衝動的10のお題
配布元:Abandon(PCサイト様)
090801
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