動かす身体は、傷だらけ。(?)




―――ぴちゃ、…


闇に響く水音。
それは生暖かくて、独特の鉄の匂いが感覚を麻痺させて。
何も見えないはずなのに、その赤色だけはハッキリと捉えていた。

やたらに映える血飛沫。
この相手はとても、とても嫌な、奴だったけど。


「…汚くても、赤色だけは綺麗」


言葉に対する返事などあるわけもなく。
濡れて気持ちの悪い着物を脱ぎ捨てて、楽な着流しになる。

そのまま、屋根へと移動した。
もう深夜。…丑の刻ぐらいだろうか。
今日は朔月だから、仕方ない。
きしり、呑まれそうなほど深い黒。


「っう…!」


身体中が軋む。
痛い。痛い。痛い。
―――…でも、あの方は、もっと。
だから動ける。あの方の為に。


「…戻りました、」


この身が、朽ち果てて逝こうとも。








(それでも、わたしは、)

----------------------------------

お相手がご自由に妄想してください←
忍夢主は好きです。




title:暗黒系10のお題
配布元:Abandon(PCサイト様)
090717
back