自傷の傷痕はいつだって無痛。(元親/現パロ) ばち、と余りにも軽すぎる音が耳元で反響した。 痛みは無くて、代わりに熱と痺れが神経を刺激する。 一度限りしか使えない、用の無くなったそれを投げては取る。 「…またサボりか?」 「アンタもでしょ?元親」 屋上のフェンスに寄り掛かってる私を元親は見下ろして、煙草に火をつけた。 ゆらり、風に揺らぐ紫煙。 「玲、ピアス増えてねえか?」 「ああ、うん。今さっき一個開けたし」 少しばかり顔をしかめる元親を横目に、まだ開けてもいない新しいピアッサーを取り出す。 それをみて、本格的に元親は顔をしかめた。 「まだやんのかよ?自分傷つけて、いいことなんかねえぜ」 「なら煙草の方がずっと身体に悪いよ」 バツが悪そうに後頭部を掻く元親に、ピアッサーを手渡す。 髪を持ち上げて、ニッ、と笑って見せた。 「元親、開けてよ。ここに」 軟骨ぎりぎりの位置を指差す。 ピアッサーは軟骨用じゃない、だから外したら相当痛いだろう。 でも、元親なら。 元親なら外さない気がする。 外しても、何だか痛くなさそうな気がする。 「…しょうがねえなあ、」 ばち、本日二回目の軽い音。 ほら、やっぱり痛くない。 自傷の傷痕はいつだって無痛。 (ありがと、元親) (それ以上増やすなよ!拡張もするな!) (そんなこと言われる筋合いは無いよ) ((痕をつけるのは俺だけでいい)) ----------------------------------- 何かよくわからん\(^p^)/← 軟骨ギリギリに開けてもらったのは当人ですw つっても去年の話ですがw title:暗黒系10のお題 配布元:Abandon(PCサイト様) 090628 |