愛すべき【年齢】。







「陸嘉は可愛いんだから、もっと自信持っていいのよ!」


びしっ!と指差されて言われた言葉に、苦笑い。
横では練師様が、姫様、人を指差してはなりませんよ、と、尚香様を諌められてる。
その横では大喬様と小喬様が、そうだとでも言いたげに大きく頷かれていた。……え、っと…もしかして逃げ場なし?


「でも陸嘉って強いんだよね?」

「そんな、小喬様、私はまだまだ未熟で……」

「ほら!またそうやって自分を過小評価する!」


尚香様の気迫に圧されて、言葉に詰まる。いや、本当に未熟なんですけども……伯言に勝てた事無いし。
そんな事を悶々と考えていると、練師様がお茶と菓子を勧めてくださった事で会話が途切れた。
練師様と目を合わせて、小さく礼を。笑いながら、首を横に振って下さったけど。


「ねえねえ陸嘉、陸遜ってどんな兄なの?」

「伯言ですか?そう、ですね……」


尚香様の言葉に、少し考え込む。伯言は確かに兄だけど、実質的に年齢差は無いと言っていい。
そうなると、"兄"という観点で見たことが殆どないから。どちからといえば、"半身"や"片割れ"のような感じなのかも。


「何かと私をからかったりはしますが……良い兄であるとは思いますよ」


そう、良い兄。良い兄すぎて、こちらが申し訳なくなるくらい。
何時だって私を助けてくれる。私のそばに居てくれる。唯一無二の、私の家族。
一人でそう思い返していると、陸嘉、と大喬様が声をかけてくださった。


「はい、何でしょう?」

「陸嘉は本当に、家族が好きなのですね」


やんわりと笑まれて、そうおっしゃって。
そんな大した事じゃないのに、無性に嬉しくなって、はい、と、笑んでそう返した。
私と伯言は、私が姉でも、歳が離れていてもきっと駄目だったんだろう。






愛すべき【年齢】。
(外見? 精神? それとも……)



120409
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