自分の気持ちが伝わらないことがこんなに歯痒いなんて思わなかった。





「どうしてですか…っ!」

「どうしてもって言ってるでしょ。何度言わせるの?」


肌に突き刺さるような冷たい風が吹き荒れて、秋ももうすぐ終わりなんだなと思った。

だから、なんて理由にならないけど僕から切り出した別れの言葉。

屋上庭園があまりにも静かだと感じるのは寒さのせいなのか、それとも罪悪感のせいか、そんなこと知りたくはなかった。

僕の言葉を受け入れてくれない彼女は、今にも泣きそうな顔をしている。


「納得いきません…っまだ1ヶ月経ってないじゃないですか!」

「だから?」

「だからって…!わたし、」


彼女が僕のことでこんなに表情を歪ませているなんて。今は彼女の頭の中に僕しかいないんだ。

そんなことにも喜んでしまっている僕は自分でも捻くれてるなぁと思った。

でも、もう限界だ。


「わたしはまだ郁に何もできてないんです…っ!」

「僕に何をしてくれるの?」

「だからわたしは郁の気持ちを…っん!」


彼女が言葉を言い終えないうちに僕は強引に唇を奪った。

長く綺麗な髪の毛を乱暴に掴んで、角度を変えて何度も口付けて、彼女の全てを喰い尽すように、彼女の中から僕がいなくなるように、と冷たくなった唇を貪った。

わかってる、わかってるんだよ。


「っ…"わたしが変えてあげるよ"って言いたいの?」

「そんなっ」

「笑わせないでくれる?僕はこのゲームには飽きたって言ってるの。」

「ゲーム…ですか」


悪いのは僕だ。君がこんなに必死になるなんて思わなかったから。

1ヶ月限定の"ゲーム"に僕らは本気になりすぎたんだ。


「こんなキスにも慣れないお子様な君と一緒にいるのも、君の相手をするのも飽きたって言ってるの。この意味くらいわかるでしょ?」



震える身体を抱きしめたいと思った。

その髪も顔も、首も、手も、何もかも全部

僕のものにしたい、と。



「君とはさよならってこと。」


差し出しそうになった手を何度も自分の理性だけで抑えつけて、思ってもいないことを言葉にする。

嘘なんて、慣れてるじゃないか。

今にも泣き出しそうな君の顔を見て、素直に綺麗だと思った。それは僕の心がいろんなことを諦めている証拠で。


「ねぇ郁…っわたしは郁が好きなんです…だから、もうすこしだけ…っ」

「…ふふ、それは嬉しいな。でももういらないよ」




君は僕なんかに汚されちゃ駄目だ。























(くちづけて突き放して踊らせて)

即興すぎてひどいです。気が向けば修正します。

ある曲を聞いててふと思いついたので急に書きました。郁が月子への愛ゆえに嘘をついてさよならするという、ね(´ω`)シリアスはただの私得です。

そういえば郁で甘々とか微裏とか書いてないなぁ。