キミがわたしの隣からいなくなる日がくるなんて、一度も考えたことなんかなかったんだ。





「…っ月子、平気か?」

「ん、へいき…っ」


今まで感じたことのない優しい痛み、臓器を全部突き上げられる感覚、全身が溶けてしまいそうなくらい熱い身体。


見上げる天井はいつもと変わらず白いのに、どこか虚しくて。



「無理しなくていいよ…っゆっくりでいいから…」

「錫、也…っは…っ」

「辛いよな、ごめん」


温かい掌がわたしの頬に触れる。まるで割れ物を扱うみたいに優しく、ゆっくりと。

見上げた錫也の顔は今までに見たことのないくらい歪んでいて、私の心臓に重い罪悪感が落ちてきた。


こんな顔させたかったわけじゃない。

最後に、錫也の特別だっていう証が欲しかった。自分勝手だってわかってたけど、わたしの全てを受け入れて欲しかっただけだったんだ。



それだけだったんだよ。



「…わかってるよ」

「錫、也?」

「お前の考えてる事は、わかってるから」


その言葉と一緒にわたしの呼吸は錫也に飲み込まれた。

月の光が差し込む部屋で、わたしは目を閉じた。もう二度と感じることのない錫也の体温を感じながら。



「…月子」

「…ん?」

「好きだよ。愛してる」



世界一愛しい人からの、世界一の言葉。


この言葉を耳元で囁かれるのが実は夢だったんだ、なんて言えないけど、目を閉じてても涙が頬を伝っていくのがわかった。

心臓がぎゅうって締め付けられて、少しくすぐったいな。


苦しいのに、幸せだなんて。


「…ありがとう錫也」

「っ」

「ふふ、嬉しい」



幸せなのに、悲しいなんて。


明日がくれば、きみの中からわたしがいなくなって、わたしの中からきみがいなくなる。

別々の道を歩んで行くのはすごく怖いけど、大丈夫。今日のこの時間があるから、もうたくさん幸せをもらったから錫也がいなくても歩いて行けるよ。


だから、今度は、錫也の番だよ。




「……幸せになって、ね」


ふわふわの髪も、真剣な目も、温かい温度も、何もかも好きだったよ。






――…きみは、わたしの全てだった。


















(トワイライト)

…ごめんなさいとしか言いようがない。

悲しいお話が書きたかっただけなんです。それだけなんです。思いつきで書いたのであとで修正するかもしれないです。

錫也と月子の最初で最後の夜。夜が明けたらお互いのいない新しい生活が始まるっていうことです。わかりにくかったですよね(´Д`)

そろそろ文才が来てくれればいいと思います。