幸せすぎて怖いっていうのは

まさにこのことなんだろうか、



「ん…」


カーテンの隙間から温かい光が入る。

重い瞼をゆっくりと開けると、見慣れない天井が広がっていた。

シーツが肌に触れてる感覚。まだ少しだるい体。一人じゃない温もり。

何度も瞬きをしているうちに昨日のことを思い出して顔に熱が溜まっていくのがわかる。


「…起きたのか」

「っ」


隣から聞こえてきた低い声がやけに耳に響いて。おはようと言いたいのに恥ずかしくて声にならない。

龍之介はわたしの髪に指を絡めてこっちを見つめている。


「顔、赤いな」

「だって…」

「…もっとこっちに来い」


腕を引かれて、ただでさえ近かった距離がもっともっと近くなる。

まだ眠そうだなぁ…昨日はわたしが寝付くまできっと起きてくれていたんだろうから眠くて当然だよね。

龍之介は普段から早寝早起きする人だから、それが崩れることに慣れてないんだ。


「温かいなお前は」

「龍之介だって…温かいよ」

「お前を抱きしめてるからな…」


髪を撫でていた手がゆっくりと頬に降りてくる。

温かくて、大きくて、優しくて。




「りゅう…」



どうしよう、胸がいっぱいだ。



「ん?どうしたそんな声出して」

「あのね、」


いつもいつも甘えてしまってごめんね。

龍之介は甘えてほしいなんて言ってるけど、本当は迷惑なんじゃないかって思ってしまうときもあるんだよ。

でも、本当は嬉しいの。

出会えたことにも、好きになってくれたことも、わたしの全てを受け入れてくれたことも、すごくすごく感謝してる。


「だいすき、だよ」


この気持ちが伝わればいいのに。

そう想いながら彼の頬にゆっくりとキスを落とす。


「…っお前、いきなりそういう可愛いことするな。」

「ふふ、龍之介も顔赤いよ?」

「うるさい。何も言うな。」


真っ赤になってる龍之介の顔を覗き込むと、頭を抱かれ深く口付けられた。

照れ隠しなのかな。それともわたしと同じことを想ってくれたのかな。


視界が揺れて、涙が頬を伝う。


「なんで泣くんだ…その、嫌だったか?」

「ううん…すごく幸せだなぁと想って」



私達には明るい世界が広がっている。

幸せで満ち溢れている世界が。



「…俺だって。幸せだ」

「ふふ、一緒だね」





ほら、キミがいるから。










(未来への宝箱)

…うぇ。

甘いのはやっぱり書けません。というか恥ずかしくて読み返せません。

龍之介と月子が初めて一緒に迎えた朝。なんだかんだ宮地くんは月子の一挙一動に振り回されてたらいいなぁ。

宮地くんってどんなキャラかいまだに掴めてないんだぜ…(´ω`)