全部、軽い気持ちだったんだ。





「あの、水嶋先生、待っ…」

「ん…どうして?」


一ヶ月の恋人ごっこ、だなんて。

教育実習の間の暇つぶしになるし、学園で唯一の女の子を自分に惚れさせてみるのもいい気分になるんだと思ってた。

君が僕を好きになって、僕が君を拒絶して、傷つけばいいと思ってたんだ。

君があんなこと言いだすまでは。


「…君が言ったんでしょ?僕に。抱いて下さいって」

「っそんな意味じゃないんです!」


いつも待ち合わせ場所にしてる屋上庭園。

手を繋いで、他愛のない話をして、一日が終わる。

今日もその繰り返しだと思ってたのに。

寮の門限が近づいてきて彼女を送ろうと立ちあがった時、スーツの裾を引っ張られて、彼女の口から出てきた言葉。


「じゃあどういう意味なの?"僕が欲しい"って言ったよね?」

「っあれは、」


慌てて離れようとする彼女の腕を掴んで僕の方に引き寄せる。頬に手を添えて顔を上げさせると、彼女は真っ赤になって困った顔をしていた。

その表情はあまりにも綺麗で、可愛くて、憎らしくて。



「あれは、水嶋先生の気持ちが欲しいっていう意味で」

「僕の気持ち、ねぇ…それは君次第じゃないの?忘れちゃった?」


僕がそう促すと、我に返ったのか、君は腕を振り払おうとして暴れ出す。

それを阻止するために小さな身体を折れる程にきつく抱きしめて、長い髪に触れるだけのキスを落とした。


その瞬間、彼女の肩が揺れる。

そして顔を上げて不安そうな目で僕を見つめてくる。

…やめて、って言ってるんだろうな。


「君は本当にわかってないね」

「え?」


僕だってこんなお子様に手を出すつもりなんかなかったけど、こんな反応されたらどうしようもないじゃないか。

君はもっと自分が女の子だってことを自覚しないと。


「少なくとも、僕はこういう意味で捉えたから責任は取ってね?」

「え?先生…っんぅ」


男は感情がなくても好きだの愛してるだの言えるし、好きでもない相手を抱くことだってできるんだよ。

そんなことまだ知りもしない君の顎を掴んで、乱暴にキスを落とす。

細い腰に腕を回して、深く、キミのすべてを食い尽すように。


「んっ…だめ、逃げないで」

「っはぁ、」


息の仕方もわからない君には大人過ぎるキスだったかな。

君はこのまま僕の熱で溶けてしまえばいいよ。男っていう生物を嫌いになってしまうくらいに。






「…ふふ、愛してるよ」



いくらでも言ってあげるよ。

こんな薄っぺらい言葉だけで君が満足するならね、





























(嘘が欲しいならいくらでも)

なんの感情もなく愛の言葉を囁くダークな郁が書きたかっただけです。

嫌がる女の子って可愛いんだよ…^p^

最初はもっと無理矢理感を出してたんだけどそれはあまりにも月子が不憫だったのでやめた。

脈絡がなさすぎるのはもうどうしようもないです…えへへ