窓から夕日が差しこんで、世界がオレンジ色に染まる。

今、この瞬間が昼と夜の繋ぎ目だと思うと、すごく不思議な感覚。

一日で一番短い時間がとても貴重なものに思えるんだ。だからわたしは、この時間が好きなのかな。


「…っん、」


ほら、また。

ぼんやり考え事をする時間さえもらえない。止まる事なく降って来る甘いキスに、ここが保健室だってことを忘れてしまいそうだった。

離れては触れ、触れては離れ。

激しくも優しくもない口付けを繰り返してもうどれほど時間が経っただろうか。

確かめるように細く目を開けると、白い肌と綺麗な睫毛が視界に入った。

女の人より綺麗で整ってる顔に思わず嫉妬してしまいそうになる。



「こーら…目は閉じなさい」


わたしの視線に気付いたのか、先生は目を開けて小さな声で囁いた。


「どうかしたんですか…」

「ん?俺が?」

「…はい。学校ではバレないようにしないとって、言ってたのに」


まだ唇は微かに触れあっていて、至近距離のまま綺麗な瞳に見つめられる。そして今度は啄むようなキスをされた。


跳ね上がる鼓動。一気に上がる体温。


「ふふ…顔真っ赤になってるぞ」

「だ、だって!」

「素直でいいじゃないか。」


そう言いながら先生はわたしの髪の毛を優しく撫でる。

わたしの質問はいつもこうやってサラッと流されてしまって、その度にどんな反応をしたらいいのかわからなくなる。

やっと恋人になれたのに、それでも弱みを何一つ見せてくれない先生が遠くなっていく気がする。

先生の近くにいればいるほど、寂しい気持ちになってしまうのは何故なんだろう。


「ここ、保健室…ですよ」

「ここは俺の部屋だから俺が何をしようと許されるさ」

「…職権乱用です」


照れ隠しのために顔を背けようとしたけど、それも先生の指に阻止される。

くいっと顎を掴まれて上を向かされると、また唇が重なって、呼吸を奪われて、また誤魔化されてしまう。


「んっ…ふ…せんせ…っ」

「かわいいよ、お前は」


さっきとは違う大人のキスをされて、思わず身震いをした。

何度も何度も触れ合って角度を変えて、さらに深く絡まり合う。



「ん…っ俺はお前がいれば大丈夫だ。…だからお前は余計なことを気にしてないで俺に夢中になってなさい」


そんなこと言われなくても、もう、


そう言いたかったのにわたしの言葉や気持ちは、琥太郎さんに飲み込まれてしまった。



ゆっくりと視界が傾いて、

世界が愛しい人に染められていく。

























(目が眩むようなそれは愛)

…禁断の恋みたいなのが書きたかったんだけどかなり生温くなってしまいました。スリルが皆無です。

早く旦那CDが聞きたいっていうストレスが溜まりすぎてここにぶつけました。