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「黎弥、酷いっ!!」
睨みつける私を顎でクイっとどかそうするもこっちも睨みつけてやった。
「ゆき乃、大丈夫だから、」
スッて私の肩に手を置いて立ち上がった勇征は、黎弥に深々と頭を下げた。
「黎弥くん、頼む!ゆき乃に本気で惚れてる。だから俺にちょうだい、黎弥くんのゆき乃。絶対泣かさないし、何があっても守るから!」
頭を下げる勇征の胸ぐらを黎弥が掴んで、もう一発ガツンと殴ったんだ。
「黎弥!!!勇征大丈夫?」
すぐに勇征の前に立ちはだかる私だけど、また勇征に後ろに隠されて。
「俺に言うな、ちゃんとゆき乃に言えや、勇征!たく。」
そう言うと黎弥は小さく息を吐き出す。それからドアの向こうにいたのか、R校に向かって「俺の妹とその男に手出したらぶっ殺すぞ!青山、通達しとけや!!」ガンって壁を殴りつける黎弥に、R校トップの青山が「面倒くせえな。北人お前がやっとけ!」って命令をした。
でもだけど、「黎弥!」着崩した制服の裾を摘んで引っ張る。
「北人は友達だよ。ねぇ、仲良くしてよ。喧嘩はしないって決めたんだよね?R校と!じゃあもっと仲良くしてよ。」
せっかくできた友達なのに。
「いや駄目でしょ。男女の間に友情はないから。北人はゆき乃に下心あるでしょ!」
勇征がめちゃくちゃガン飛ばして北人を見るから苦笑い。
「たまにデートするぐらいよくねぇ?ゆき乃可愛いし!」
北人の言葉に恋愛慣れなんてしてない私は照れる訳で。そんな私をムスッと見下ろす勇征。
「却下。他の女はいいけど、ゆき乃は誰にも触らせない。」
「ずるくない?八木!ねー陸さん、どーにかしてよー。」
北人が青山を見るも苦笑い。
「好きなら自分でなんとかしろよな、北人。」
青山の言葉に北人がほんのり紅くなった。
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