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▼ 5

当たり前にスマホから鞄から学校に置き去りにしてきた私が部屋に戻ると、腕を組んで仁王立ちの黎弥がいて。


「どこいってたんだ?こんな時間まで。」


自分を棚に上げて相変わらず過保護な黎弥に苦笑い。


「着替えたいから出てってよ。」
「勇征も、夏喜も、サワも、朝海も、心配してたぞ。」
「…疲れたからお風呂入るから。」


黎弥を無視して出て行こうとするも、思いっきり腕を掴まれてそのまま壁ドン。げ、黎弥如きに最悪。ド至近距離でガンつける黎弥の股間を思いっきり膝で蹴りあげた。

その場に蹲る黎弥。ちょっと強く蹴りすぎた?声も出せずにのたうち回っていてゲホゲホむせ始めた。心の中で土下座をすると、黎弥の身体をピョンっと飛び越えた。

別にR高の男とニケツしたぐらいでとやかく言われたくない。…勇征にはバレたくないけど、勇征だって1年のお弁当受け取ったもん。


「おいゆき乃っ!ホクトってR高の吉野じゃねぇだろな?」


黎弥の叫び声に足を止める。


「なんで知ってるのよ?」


部屋に戻ると涙目の黎弥が私のスマホを掲げる。そこには北人なのか、星空のアイコンで新規のお友達のメッセージがきていて…

いや私LINEなんて教えてないけど。


「たく、お前。なにやってんだ。朝海の次はゆき乃までR高に取られてたまるかよ。勇征はいいの?」
「…黎弥が勇征との仲いつも邪魔してるんでしょ!自分は好きに恋愛してるのに私ばっかり縛る黎弥が悪い!」
「俺はお前が変な男に騙されないか心配してるだけだろ、」


グイッて黎弥が私を引き寄せた。ふわりと抱き寄せられる。どぎつい男物の香水が黎弥から香って酔いそう。


「…北人はそんなんじゃない。心配しないで。黎弥、私やっぱりどうしても勇征が好き。ちゃんと自分の口で伝えたいよ。」


ギュッと黎弥の頭を抱え込む私に「…分かってるよ。」ちょっとだけ不満声。

だけど黎弥の予想が的中するのはすぐで。




――――――――――――――――――――


「北人?」
「ゆき乃!?偶然!ゆき乃も?」


いつもながら放課後はカラオケボックス。歌好きとお祭り好きが集まるとだいたいがカラオケで。ドリンクバーを取りに来た私の隣、同じようにジンジャエールを注いでいる北人と出会った。

これって偶然だよね?


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