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そんな事があったお昼休み。午後の授業はみんな寝ていて、窓際の一番後ろに座る私の双子の兄、瀬口黎弥の想い人でもある朝海の肩をポンポンと叩く。

振り返った朝海は「ん?」ってこちらに耳を寄せて。


「ね、朝海。勇征にお弁当作ってきたら喜ぶ、かな?」


一瞬キョトンとした後、「そりゃ喜ぶでしょ!」ニッコリと微笑んだ。

よし、作ろう。明日から毎日勇征に手作り弁当を作って、私の想いをアピールしよう!善は急げ!!


「私、帰るね!」
「えっ!?」


スッと立ち上がった私を見る教卓の先生。


「せんせ、お腹痛いから帰ります。」
「瀬口か、あー分かった。お大事に。」
「はいっ!」


そのまま教室を出ると面倒そうな顔したなっちゃんが追いかけて来た。


「なっちゃん?」
「家まで送る。黎弥くんの命令…。」
「心配性だなぁ。」
「勇征じゃなくて残念だろうけど、」
「ほんとよ。」
「気使えよ、ばーか。」
「ふふ、」


なっちゃんは一見クールに見えるけど、実は物凄くお喋りで私達の扱いに慣れている。金髪の長身だから見かけはちょっと怖いけど、私と2人の時はそのオーラを消してくれるからそれが嬉しい。

2人でスーパーに寄ってお弁当の材料を調達。


「全部肉じゃねぇか。」
「だって勇征肉好きでしょ?だからいーの!」


買ったのは鶏肉、豚肉、牛肉のオンパレード。勇征が喜んでくれると思うとそれだけで嬉しくなる。


「練習するからなっちゃん味見してってね?」
「毒味だろ、それ。」
「酷い!あ、勇征がこっち来ても絶対入れないでね?」


午後の授業で爆睡していただろう勇征もそろそろ確実に起きている。姿のない私を心配して家に来るかもって。今日だけは勇征に見られちゃいけない。

案の定、時間差でうちのピンポンを押す勇征になっちゃんがすぐ様追い返してくれたんだ。






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