Heart or Body? | ナノ


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朝海の惚気を聞いた日はぐーんと気分が落ちる。今日は泡風呂でも入って美味しいお酒飲んでアロマ焚いて気分良く眠ろうって、駅前のスーパーでお惣菜も調達して小さなアパートに帰った時だった。

隣の空き部屋に入居者が引越しに来ていたようで。


「あーそういや大家さん今週だかって言ってたっけか!」


開放されたドアの前をそそーっと通リ過ぎたら「あ!待ってや!!」聞き慣れない関西弁が私を止めた。


「え?」


立ち止まって振り返ると慧人くんと同じ歳ぐらいだろうか?若めの学生さん?茶髪をふわふわさせた髪型とくりっとした大きめの瞳。私に向かって手を差し出したんだ。


「え、あの、」
「僕、今日からお隣さんの中島颯太です。ぜひ仲良くしてください!」


…か、可愛い!!子犬みたいな笑顔で笑うその子に一瞬見とれたなんて。スッとその手を握るとギュッと強く握りしめられて。


「美人なお姉さんが隣でよかったー!ごっつい怖いお兄ちゃんやったらどないしよー思ってたんで。」
「あはは、ここはそんな人いませんよ。ゆき乃です。一ノ瀬ゆき乃。こちらこそ、宜しくお願いします。」
「ゆき乃ちゃん!ほんまに仲良うしてくださいね!」


急に名前で呼ばれてドキッとした。慧人くんとはまた別の可愛さで、ほんの少しキュンとしたのを気づかれないようにペコッと頭を下げた。

中島さんの部屋を通り越して角部屋の自宅の鍵を開ける。


「へぇー。やっぱ女って感じやんなぁ。てかむっちゃええ匂いやん、ゆき乃ちゃんとこ。」


へ!?振り返るとピタッとくっつきそうなくらい真後ろから部屋を覗いている中島さん。いやいやさすがにドン引きなんだけど!!


「ちょ、ちょっと、覗かないでください。」
「なんで?ええやん、お隣やで俺ら。」
「そうだけど、今出会ったばっかりの人と、無理ですから。」
「冷たいなぁ、ゆき乃ちゃん。美人が台無しや。まぁええけど。今度部屋入れて。」
「…お断り、」


ピタっと唇に指を当てられてドキ。可愛らしい中島さんはその童顔からか小さく見えたけど、傍に来ると身長差ありで。ちょっとだけ慧人くんみたい、なんて思ったなんて。


「拒否らんといて。あんまりしつこいと嫌われてまうからまたにするわ!おやすみ。」


ほんの一瞬私の頬にちゅ、って触れるだけのキス。思わずそこを手の平で触るも中島さんはもう自分家の方に歩いていて…

とんだプレイボーイじゃんか!!ってイライラするのに、何故か嫌じゃなかったなんて。



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