Heart or Body? | ナノ


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今までお隣さんがいなかったから気づかなかったけど…

こんなに音って聞こえるの!?

隣の中島さん家の生活音が壁を伝ってこちらにも聞こえてくる。それは勿論私が音を発していないって事もあるんだろうけど…、これ絶対慧人くんとのえっちも聞こえちゃう?よね。


「憂鬱。」


膝を抱えてそこに顔を埋める。社会人一年目の一人暮らしなんて、孤独以外のなんでもない。辛うじて慧人くんって存在あるからまだやっていけてるけど、慧人くんがいなかったらなんてつまらない人生なんだろうか?なんて思えた。


「今日は忙しいの?いつもLINEくれるのに。」


毎日欠かさず「おはよう。」「おやすみ。」「何してる?」「好きだよ。」「早く逢いたい。」そんなLINEをくれるのに、今日はまだ朝の挨拶だけだった。年上の私から「逢いたい。」って言ったら、きっと慧人くんは喜んで来てくれるんだろうけど、朝海の彼氏との話を聞いてしまった私は、なんだかそんな気分にもなれなくて。当たり前に無理強いもしない慧人くんだけど、やっぱり今日は逢いたい気持ち以上に憂鬱で、だけど次の瞬間耳を疑った―――


「ちょっと待って、」


壁の向こうから聞こえるののは女の喘ぎ声。う、嘘でしょ!!慌ててテレビをつけて音量をあげるものの、どうにも気になってしまって、そんな自分をかき消すようにLINEを開いて慧人くんに電話をかけた。

だけど聞こえるのは冷たい機械音だけで。


「慧人くん、何してるの?」


呟いた独り言は当たり前に誰にも届かない。


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