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「ねぇね、ごめん。」
ネコ未来を見送った後、マサが小さく言う。サワのお陰でかすり傷一つ負ってないマサの腕に絡まって「手がかかるなぁ。」そう言うと甘えるようにマサがぎゅーってハグしてきて。ちょっと笑いながらVIP部屋に戻ると、チームの幹部様が見事に勢揃いしている。
一瞬だけ私を見た健太は、その重たい口を開いたんだ。
「女を探してる、この女。」
健太がスマホの画面をこちらに向けた。そこにいたのはうちのチームの「やましょー?」と、知らない女。
そういえばここにやましょーの姿がなくて。頭脳派なやましょーはうちの幹部の中でも頼りになるそんな存在だった。
「この女に入れ込んだせいで、廃人にされた。…いいかお前ら。絶対に女を信用するな。俺は何としてもこの女を見つけて同じ目に合わせてやる。」
「…それでネコに隠れてクラブに行ってたの?」
私が聞くと頷く健太。
「あいつには、朝海には絶対何があっても漏らすな。やましょーの事もだ。朝海が傷つく事があったら、なんびとたりとも容赦しねぇぞ。」
吸っていた煙草を床に落としてダンっと踏みつける健太に、ぞくりと寒気がした。
まぁ、素直じゃないのは私も健太も同じなのかもしれないけど。
「ねぇね、朝海を頼むよ?」
「…うん。」
一抹の不安を感じながらも、VIP部屋での会議が終わりを告げる。
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