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結局その日、ネコと未来は倉庫に戻ってこなかった。あの二人がどこで何をしているのかは分からない。
でもネコが健太を想う気持ち以上に、未来がネコを想っていたら…どうにかなっちゃうのかな??
翌日。いつも通りの朝がくる。何一つ変わることのない朝。
ただ、何かを掴んだのかチームは慌ただしくしているように思えた。
最も、大事な事は私たち女の耳には簡単には入ってこないけれど。
「ゆき乃、昨日はごめんね。」
学校に着くと、既に来ていた嘉くんに開口一番謝られた。
「私こそ、何の役にも立てなくてごめんね。彼女大丈夫だった?」
「あーうん。ただなんか、できればゆき乃と話したいって言ってて…、今日時間あったりする?」
…今日?
思わずサワを振り返ると、こっちを見ていて、それから机を離れてこちらにやってくる。
「二人きりはダメ。俺も立ち会う。それが条件。ゆき乃と二人きりになろうもんなら、全部纏めて俺がぶっ殺す。」
そう言うといつもながらの爽やかなサワの笑顔に戻るわけで。勿論ながら何も言い返す事なんてできない嘉くんは「分かったそれで。」苦笑いで頷いた。
モヤモヤするのは仕方のない事で。それを分かってるサワが「抜ける?」小さく聞いた。
「うううん、平気。一限体育だ、着替えなきゃ。」
さすがに女子ロッカーまで着いてこれる訳もなく私は一人ロッカーに入ってため息をついた。
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