秘密の共犯者達 | ナノ


▼ 1

人生には一生に三度、モテ期がくる!と、言われている。

自分で思い起こしても一度目のモテ期は幼稚園の時。モテ期にカウントしても良いのかすら分からないけれど、あの時の私は確実にモテていた。

二度目は中1の夏。確かにモテ期だった。学年一瞬速の男子を選んで、彼のファンからかなり妬まれた記憶すらある。

ただそれ以降私の中でのモテ期と思われる時期なんてなかった。はず。

だけど、人生には三度モテ期がくる!その言葉を信じている私に彼は真っ直ぐ目を見て言い放ったんだ。





「付き合ってる人、いますか?」


忘年会帰り、駅まで同じ方向だからって歩いていた私達。不意に手をキュっと握られたと思ったらそんな言葉。


「…え、酔ってる?」
「…酔ってはいますけど、ちゃんと理性は保ってます。」
「な、るほど。えーっと、付き合ってる人、だったっけ?」
「はい。いますか?」


…どういう意味だろうか?まさか、告られる?なんて事ないよね?


「いないけど、」


馬鹿でも分かるぐらい表情を明るくさせる彼。


「あの、好きな人とかは?」
「…いないよ。」
「年下、興味ありませんか?」
「…あの、堀くん?」
「あ、そうですよね、ちゃんと言葉にしなきゃですよね。…ゆき乃さんの事いいなって思ってます。なので、もし良ければ、」
「ストップ!!!」


思わず彼の手を離してそっと腕を押す。超ビビった。だってこんなイケメンの若い子にいいな、なんて…騙されてるとしか思えない。こんな年上の女。

私の言葉に「え、?」顔を歪ませる堀くん。


「えっと、いい歳して年下に遊ばれるのはちょっと、」
「え?疑ってる?」
「うん。」
「うわ、マジかよ。いや本当に俺、ゆき乃さんの事好きです。え、何したら信じてくれます?」
「そう言われても、」
「分かったじゃあ、これから俺の事そーいう目で見てください。それで信じてくれたらもう一度チャンスをください。」


…本気なのかも、なんて思った。ニコッて笑ったら八重歯が見えてトクンと胸が音を立てた。

初めて堀くんを意識した瞬間だった。


-1-

prev / next

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -