秘密の共犯者達 | ナノ


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「家まで送りますよ!」
「ふふ、送り狼に?」


冗談でそう言うと、隣でハハって笑った瀬口くんは「まぁせっかくのチャンスなんで、これを逃す訳にはいきませんので、ね!」そう言うとスッと私の手を握った。

え、こいつ本気!?


「ずっと見てました、ゆき乃さんのこと。綺麗な人だなーって。他の男に取られたくないっていうか、」


思わず立ち止まる私を瀬口くんは気にすることなくちょっとだけ強引に抱き寄せた。


「俺じゃダメですか?」


…キムタク!?てゆうか、そんな台詞言う男本当にいるんだ。


「瀬口くーん、おーい、」
「え?あ?苦しい?ごめん、」
「…ちょっと反則。私が瀬口くんの笑顔見にあのコンビニに通ってたの、気づいてたの?」
「え!?そうなのっ!?いやそれめちゃくちゃ嬉しい!今のはイエスと取ってもいい?」


このまま黙ってたらキスぐらいされそうな勢いの瀬口くん。勿論ながら嫌いじゃないけど、知らない事のが多すぎる。


「あの、せめて下の名前ぐらい教えて?」
「あ、そっか。黎弥!瀬口黎弥!ゆき乃さんは?」
「レイヤくんか。私は新城ゆき乃。ちなみに瀬口くんよりずっと年上だと思うけど、」
「歳は関係ない。俺の事、好きになってくれませんか?」


NOを選ぶ選択肢が一つもなかった。掘くんには騙されてるのか?って疑ったものの、瀬口くんの笑顔には嘘がない気がする。

だって疲れも吹っ飛ぶぐらいの笑顔。それが嘘ならもうこの世の終わりだ、むしろ。


「…今日会社の後輩に告られたの私。それで久々になんかキューって胸が痛くて。別に彼の事意識してた訳でもなんでもないんだけど、ちょっと嬉しかった。…瀬口くんもその彼と同じ感じ。ちょっとだけ胸が痛い。」


…どうせなら正々堂々戦って欲しい。なんて聞こえがいいか。


「…負けねぇそれ。同じだなんて思われたくないんで、ガンガン攻めます。」


瀬口くんがどう攻めてくれるのか分からないけれど、人生最後のモテ期なんだと、勝手に思ったなんて。


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