Accident 1

2人がテニスをしているという話になり、少しだけ食いつくとジローが「はるこもテニス部見に来たらいいC〜!」って話になり、あんまり乗り気じゃ無かったけど放課後暇だしまあいいか、と思いついて行ってみることにした。


04



氷帝のテニスコートは広かった。観客席もあってはるこはただただ感心するばかりであった。
「すごいね…」
ポカンと口をあけているはるこに宍戸は「そうか?」と首をかしげた。金持ちの感覚はよくわからない。

「あれ?そこにおるんってはるこちゃん?」
まだ誰もいないテニスコートを眺めていたはるこに悪寒が走った。この声すごくいやな予感がするしどっかで聞いたことある…。はるこがおそるおそる振りかえるとそこには笑顔で手を振っている忍足がいた。

「…すみません、どちら様ですか?」
「いややわあ、あんなことやこんなことした仲やろ」
「訴えますよ?」
「いやいやちょっとはるこちゃん、目がまじやん」
「冗談じゃないですから」
「いやいや、ちょ、待ってや」
「無理です」
「なんでや、朝一緒に職員室行ったやんか〜助けてあげたやんか〜」

必死に主張する忍足を「ハイハイ」とあしらうと宍戸に「お前忍足に何されたんだよ…」と軽く呆れた声で言われた。別に何されたわけでもないけどちょっとほら、うざかったじゃん。助かったのは事実だけどちょっとそれを上回るくらいうざかったじゃん。もっと違う出会い方をしていればただただイケメンだな〜って感想になったはずなのに。全く、かわいそうな人。

「見かけねー顔じゃん」
はるこは段々忍足がかわいそうになってきてそのことで頭がいっぱいだったので、その言葉が自分に向けて発せられていたとは気付かなかった。そのせいで軽く無視していたら「無視とか宍戸風に言ったら激ダサだろ!」とはるこの腕を引っ張られて言ってきたことからはじめてその言葉が自分に向けて発せられていたのだと気付いた。
引っ張られた方を見るとおかっぱ少年が立っていた。
「あ、わたしに言ってたの?」
「他に誰がいるんだよ」
「その辺にたくさん」

見渡すと忍足と目が合った。かわいそうに、という顔になってしまっていたみたいで。「そんな顔で俺のこと見んといて」と忍足は更に悲しそうな顔になった。なんだかすまんね。

「まー、いいや。お前、名前は?」
「高橋はるこです」
「そっか、俺、向日岳人」
「うん」
「侑士が話してた転入生ってお前のことだったんだな、よろしくな」
岳人は愛らしいスマイルでにこっと笑いながら挨拶した。あら、第一印象は悪かったけど第二印象は全然いい感じ。その同じ高さくらいの視線(「いや俺の方が上だ!」by岳人)に見える岳人に対し、はるこは素直に「よろしくね、向日くん」と挨拶した。

そういえば激…?なんかダッセェこと言ってた気がするけどきっと気のせいだろう。気のせい。

そのあと、鳳長太郎くんって言う宍戸くんの後輩とか樺地くんとか色々やってきてやたら挨拶された。なんでこんなにわざわざわたしに挨拶してくるんだろう、と思いながらも挨拶されれば挨拶し返した。
彼ら曰く、「普通の女の子がテニスコートにやってくることが珍しい」らしく、希少価値も込めて挨拶されていた、らしい。なんだ普通の女の子って。意味がわからん。普段どんな女がここにらやってきているんだ。氷帝こえーな。そして確信を持って言える。絶対次あっても今日挨拶してくれた人全員覚えてない、と。

「ねえねえ向日くん」
「なんだ?」
「普段このテニスコートにはどんな女の子がやってくんのよ」
「あー、すげえんだぜ」
「すげえの?」
すげえってどういう意味なんだろう。とりあえずわたしは何に対しても秀でたことなんて無いから、だったら100%わたしは普通の女の子の分類なんだろうな。

「あ、そろそろ生で見えんじゃね?」
「え?」

すげえの来るの?と続けようとした瞬間、キャーーーという声が聞こえてきた。
黄色い声っていわゆるこういう声なんだろうな、と察した。というか学校からこんな声聞こえることある?芸能人でもいるのか、まあ金持ち校らしいからいるのか。

「わたしの知ってる芸能人?」
「芸能人?まあ、ある意味そうかもな」

ある意味ってどういう意味よ。
そう続けたかったがふと周りを見渡すとあまりにも普通だった。え、向こうではあんなに騒いでいるのにここはこんなに平静?どういうこと?

「なんでみんな冷静なの?」
「まあ、慣れてるからな」
「え、これが日常なの?」
「おう」

芸能人じゃ無いけどある意味芸能人で人によれば黄色い声をあげるほど騒ぎ立て、人によれば全く普段と変わらぬ行動をするほど冷静にいられ、
え、意味変わらん。どういうこっちゃ。
とりあえず黄色い声の出所を探してみた。女子の群衆が見えた。そしてその彼女たちの視線の先を見た。


そこにはなんか偉そうな一人の男が立っていた。

*
事件勃発


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