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「去年の話はどうでもいい。明日のことだ」
あとべがムキになって言いだすもんだからすっかり忘れていたというのに更になんだか疲れた気がした。やっぱりあとべのこと好きとか思ったのなんて気のせいだったんだよ。あとべに似合う彼女になる?何言ってんだわたし。冷静になれ。現実を見てみなさい。
「だから明日は友達と遊ぶってば」
「お前友達いたのか」
「なんっ…!」
ほんとうに、全く持って、失礼な奴だ!

29


「跡部それは失礼すぎるやろ」
「俺等以外にこいつが誰かとしゃべってるの見たことあるか?」
「誰のせいだって思ってんのよ!」
この学校でなかなか友達が作れないのは半分…いや8割は確実にあんたのせいよ!
女の子なんて彼氏がいて「跡部くんってかっこいいとは思うけどだからと言ってそれ以上何かは考えないかな」って考えてる子くらいしか話せないんだからね…。本当に、わたし、毎日がんばってる…。挨拶はしてくれるけどまだプライベートで遊んだ子なんて一人もいないよ、うううっ。
「明日遊ぶのはどいつなんだ」
「人の友好事情にまで首突っ込むの?言っとくけど束縛する男はモテないよ」
そこで忍足がすかさずメモを取った。どうしてそこでお前がメモを取る。
「束縛じゃねえよ。ただ聞いただけだろ」
「前の学校の友達ですー」
「前の学校?」
跡部よりも先に忍足が首を突っ込んできた。
「そういやはるこちゃんってどっから引っ越してきたん?」
「千葉だよ?」
「千葉のどこ?」
「内房の方だからちょーっと距離あるんだよね」
「へー、転校とか抵抗なかったん?」
「やっぱ寂しかったよー、けど会えない距離じゃないからね。そこまで言うほど抵抗は無かったかな」
へへへ、とはるこは照れ笑いした。つられて忍足も照れ笑いする。
「なんや懐かしな〜俺も昔はよー転校したからなあ」
「まあそのしゃべりで生まれも育ちも東京です言われても疑うけどねー」
「せやなあ」
ははは、と笑い合うはること忍足とは対照的にピクリとも笑わない跡部。
「あとべちゃん、笑わないと長生きしないよ?」
「俺はお前や忍足の転校話はどうでもいい。明日の話をしているんだ」
「もーしつこいなー。だから明日は友達と遊ぶって言ってんじゃん」
「彼氏を優先させろ」
「友達も優先させてくれない人とかイヤですー」
お互いの意見が真っ向から対立しあう。傍から見ればなんてしょうもない喧嘩。と思うところだが、本人たちにとってはいたって真剣なのである。
「また今度にしてよ、ってかあとべいっつもいきなりすぎるんだってば」
「アン?」
「だからもっと前もって連絡してってこと。そんな急に明日とか言われても普通予定空いてないよ!」
「……」
跡部はいかにもなことを言われ黙り込んでしまった。よっし!わたしの勝ち!と思ったはるこは少し甘かった。
「じゃあその次の週、空けとけ」
「え、あ?」
「空いてないとは言わせねえぜ」
「……」
はるこの負けである。
渋々手帳に来週の予定を書き込むと、「その代わりみんなも呼んでいい?ってか呼ぶね!」と付け足すように言った。跡部は止めようとしたものの、そういうときの逃げ足は速く、既に岳人、宍戸、慈郎まで誘い終わっていた。跡部はいつものことだと、渋々諦めた。
「おい忍足」
「なんや」
「来週、見計らってはること俺を二人にさせろ。お前等途中で帰れ」
「そんな無茶言うなや…」

*
いつでも2人きりになりたいあとべちゃん。
prioritize=優先順位


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