I don't even want to think about it

放課後になった。
なんだか久々に感じるテニスコートに入っていくと、たくさんの歓迎を受けた。
「よっす高橋!」
「ちーす高橋」
「高橋先輩ちわっす!」
「高橋先輩こんにちはー」
「はるこちゃん元気やった?」
なんか最後まじってた?

28


「誰かと思った。忍足じゃん」
「なんや忘れられたか思たわー」
「どうかしたの?」
「なんもなかったらはるこちゃんに話しかけたらあかん?」
「できれば」
忍足があまりにもものすごい顔をしたのではるこは思わず吹き出した。
「うそうそ、ところであとべは?」
「はるこちゃんも十分跡部の彼女になったなあ…オニーサン寂しいわあ」
「ほんとそういうの止めてほしいんだけど何?星になりたいの?」
「ウソデス。とりあえず跡部ならまだ見てへんで。今日は生徒会の仕事して来るんちゃう?」
生徒会?
はるこは首を傾げた。生徒会?あとべに関係あったっけ?
「あれ?はるこちゃん知らんの?」
「何を?」
「跡部、あれでもうちの生徒会長なんやで」
……。セイトカイチョウ?セイトカイチョウってあの学生行事を取り行う?あの、あの生徒会の?会長?あ と べ が ?
「え、大丈夫なの?」
「うちの部長もやってるしなあ、まあ跡部やから大丈夫なんちゃう?」
「いやいやいや、わたしが聞きたいのはそうじゃなくって」
一番最初に宍戸くんにあとべの紹介されたとき試合のときとんでもなくセンスの無い応援コールを自分で考えて人に言わせてるとか聞いた気がするんだけど。ってことは生徒会で何かやるときとんでもなくセンスの悪いコールかなんかやらされるんじゃないのって心配をしているということで…。
なんとか上記のことを忍足に説明することで忍足の顔はだんだん苦渋の色を浮かべていった。
「アー、確かに去年の運動会の時の選手宣誓は酷かった気がする、わあ…」
「もしもーし、忍足くーん。そこはっきりしてくださーい」
「いや、もうなんか思い出したくなくなってきたわ」
「そこは頑張れ忍足少年!!!」
「なにやってんだお前ら」
そこへ現れた救世主とは岳人のことか。と、さすがに少し言い過ぎのようでもあるが彼女らにとって今の岳人の登場は救世主ばりに嬉しいものなのだ。
「ねえ向日くん!」
「おー?なんだ?」
「去年の運動会の選手宣誓のこと覚えてる?」
「運動会…?」
「おー、何してんだ?」
「宍戸くんまで!丁度よかった!今ね、去年の運動会の選手宣誓のこと思い出してるんだけど何か覚えてない?」
「選手、宣誓…?」
岳人も宍戸も一緒に1年前の記憶をよみがえらせる。そして2人同時に鳥肌がたった。
「なんだかわかんねえけどそれ思い出さない方が良い気がする…」
「おお、とりあえずあれだな、跡部がやらかしたやつだろ」
「え、え…」
みなさんどうしてそういった御反応を?
「ねえねえなにか大変なことしたの?来月には運動会と似たり寄ったりなイベント、球技大会があるんだけど…大丈夫なの?」
「とりあえず人様の迷惑にはなってない…いや、どうだっけな、あれ…?」
宍戸が自信の無い声でしゃべるせいか若干語尾が聞き取りにくい。
「…なにしたのよあとべちゃんは」
だんだんとやつのパフォーマンスセンスに疑惑が浮上してきた。部屋のセンスはよかったのに…センスに偏りがあるのか?他の部員たちに聞いてもみな頭痛を起こしだす。なにしたのよなにしたのよ。一体去年の秋にここでなにが起こったのよ!!
そんな最中、やっとこさコートに姿を見せた人物がいた。
「あとべ!!」
「アン、来てたのかよ。なら話は早い明日のことだが…」
「あんた去年の運動会の選手宣誓のとき何したのよ!!」
アアン?と跡部は眉間にしわを寄せた。そして少しだけ考えて「ああ」とドヤ顔を決めた。
「ヘリで登場してバラをまき散らしながら全校生徒に氷帝コールをさせたな。それがどうかしたか?」
はるこは聞かなければよかったと後悔したと同時に今年もやらされる可能性があると思っただけで肩におもりが100トンくらい乗っかって来てペシャンコに潰れるかと思った。
100トンとか全く見当つかないがそれくらい、後悔した。

*
I don't even want to think about it=思い出したくもない


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