First emotion

散々UNOを堪能した後、帰ると言い始めたはるこ。じゃあ俺も俺もと、宍戸達も帰る流れになった。跡部が「俺も行く」と行ったものの、はるこの「絶対嫌」と拒否が強く、結局、跡部の部屋には忍足と樺地が残った。

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「はるこちゃん、恥ずかしかったんやろな」
はるこ達が乗っているであろうリムジンを跡部の部屋の窓から見下ろしながら忍足が呟いた。
「そーかよ」
「どう考えてもな。男の人にあないなことされるん初めてだったんちゃう?どっかの誰かさんと違って」
「何が言いたいんだよてめーは」
「なんや、跡部も前までの女の子とはちゃうな〜て思たんちゃう?」
「だからはっきり言えよ」
「さっきは気になるとか言よったけどはるこちゃんのこと、ほんまに好きになってもたんやろ?」
にこにこしながら言う忍足にいちいち腹が立つ。
「ええことやん、なあ。樺地?」
「ウス…」
「…はあ」
少し諦めたように跡部はソファーに座りこむと窓の外を見ながら口を開く。
「始めは、確かにお前の言うとおり、意地だったのかもな」
「意地?」
「今までの奴は少し口説いただけですぐにコロリと落ちた。簡単すぎるゲームをずっと繰り返してただけだった。そんな時急に落ちねえどころか俺の誘いを断ってきやがったのがあいつだ。そりゃ意地にもなるだろ?」
「まあ、せやなあ」
「とことん俺しか見えないようにしてやろうと思った。それが好きか嫌いかと聞かれると…実際わからなかったのかもな」
跡部は少し目線を落とし、フッと笑う。
「けど、さっきのあいつを見て初めて思った。こいつは俺が守ってやらねえといけない、ってな。文句言ったと思ったらすぐ笑ったり。すぐ泣いたり、すぐ顔真っ赤にしたり。たった一瞬のことで、あいつを愛おしいと思った。…初めての感情だな」
「跡部からそんな言葉、一日に二回も聞くことになるとは思わんかったわ」
「ハッ、勝手に言ってろ」
跡部はしっかりきっかり忍足の方を見て話を続ける。
「はっきり分かったからな。聞きたいなら答えてやるよ、俺はあいつが好きだ。そして誰にも渡さねえ。もちろん忍足、お前にもだ」
「はいはい、わかりましたて」
「お前、これが聞きたくてわざとあいつらと一緒に帰らなかったんだろ。聞いたならさっさと帰れ」
「…ばれてた?」
「当たり前だ。俺様を誰だと思ってる」
「しゃーないなあ。まあ満足したし、樺地、帰ろか」
「ウス」

そんな男たちの話なんて1ミリも知るはずのないはるこは帰りの車の中でぐっすりと眠っていた。

*
First emotion=初めての感情


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