The most strangest of his life

はるこたちは部屋に入りドアをしめると部屋の椅子に長太郎と樺地を座るよう促した。その後自分も座ると、深呼吸をして照れ笑いした。
「なんか、ごめんね。鳳くんにいつでも相談乗るって言ってくれたの思いだして今しかチャンスないかなーって」
長太郎は数日前の出来事を思い出してやっとつじつまが合ったようでにっこりと笑った。
「もちろん良いですよ」
やっぱ鳳くん激優〜!

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「ほんっとごめんね。跡部に後でなんか言われたらちゃんと報告するんだよ?ボロッカスに言っとくから」
「いやいや、ほんと、気にしないでください。俺は大丈夫ですから」
爽やかに微笑む長太郎を見てはるこは長太郎が彼氏だったらどれだけ苦労せずに済んだだろうと考えたら思わずため息をついた。
「どうしました?」
「あ、いや、大丈夫。こっちの話」
危ない危ない。
「高橋先輩、なんでも言ってくれていいですよ。俺、口堅いしいっつも宍戸さんの愚痴とかも聞いてるから聞くのは慣れてるし…樺地もホラ、あの跡部先輩の話いつも聞いてるんですよ?これとない聞き上手ですから」
「ウス…」
「長太郎くん…樺地くん…」
思わずウルウルしてしまう。なんて優しい2年生たちなの…!それに比べてあいつはほんとに…!
「それじゃあ聞いてくれますか」



「あいつら何話してると思う?」
「さあ、知らんわ」
一方こちら3年ズ。機嫌の悪い跡部とゆかいな仲間達は寝ている慈郎を除きUNOに没頭していた。
「そういや前長太郎が、なんでも悩みがあったら相談乗るって話したって言ってたぜ」
「誰の?」
「高橋しかいねえだろうがよ。」
「なんだって?」
「跡部怒んなって!あ、俺ウノ」
「早いな岳人俺全然減れへんわ…ほな今はるこちゃんは鳳に相談に乗ってもらいよるん?」
「そうなんじゃね?おい忍足どうしてそこでリバースなんだよ!」
「宍戸まで回らさせんで。…ってことは跡部がおったら相談できん相談ってことなんかいな」
「うわー跡部かわいそー」
「誰が可哀想だ、誰が」
「お前以外おるんか…って跡部なにドロー4隠しもっとんねん」
「おい跡部ウノゆったっつのにドロー4なんて反則だろクソクソ跡部!」
「フン、簡単に上がらせるか。色は青な」
「青ねえよ!」
「宍戸…お前そんだけもってて青無いってどういうことだよ!!!」
「全くやで。せやけど跡部、」
忍足の表情が真剣になる。
「なんだ」
「はるこちゃんおらんからこそ逆に聞ける質問するけど…もしも今まで好意バリバリで近寄ってきよった女たちと違うからって理由だけではるこちゃんを彼女に、とか言うんやったら…すぐ飽きるで?」
「フン、そんなことか」
「そんなことってどういう意味やねん」
「気になるくらいで付き合ってもうまくいかねーってか?」
「普通はわからへんけど跡部はうまくいけへんやろ」
「今までだったらそうかもしれねーけど俺も今までと違う」
跡部の試合のときにしか見せないような真剣な表情に3人は少し驚いた。
「あいつの言動一つ一つに興味が湧く。」
出会って数日、あいつは俺の思った通りの言動をした試しがない。
「へー、跡部でもそういうことあるんだな」
「おい向日、どういうことだ」
「そのままだっつの」
エイッと黄色の5のカードを出しながら岳人は言った。
「せやけど、確かにもっと可愛い子おるだろうけどなんていうか…はるこちゃんは…すぐにはわからん魅力があるな」
「忍足、お前が言うんじゃねえ」
「ほんまジェラシー激しいやっちゃな…」
「そんなんじゃねーよ、ウノ」
「いつの間に…!」
「言っとくがなんで気になったか、なんで惚れたかなんて関係ねえよ、問題は今どう思っているか、だろ」
跡部からこんな言葉が出るなんて…。3人は今までの跡部の恋愛経歴を思い出しそして感動した。
「昔の跡部に見せてやりたいわ…」
「全くだな」
「まあ、そういうわけで、上がりだ」
跡部は最後の赤の5のカードをピラリと山札の上に乗せた。
「くっそ!また負けかよ!!!アホアホアホベ!」
「イカサマでもしてんじゃねえのかあいつ」
跡部はごちゃごちゃ負け惜しみを言ってくる岳人と宍戸を総スルーしてドアを見た。何故かドアの向こうに笑っている楽しそうなはるこの姿が見えた気がした。

何でこんなにも一人の女が気になるのか。

一番不思議に思っているのは、そして理解できていないのは自分。跡部だってそれくらい気付いていた。

*
岳人→跡部→忍足→宍戸の順でUNO
The most strangest of his life=彼の人生で最大の不思議


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