type 3

「ってか彼女にするとか言いながらわたし以外にも彼女いるんでしょ。わたし浮気する人とか絶対に嫌だから」

そう言った瞬間一気に静まり注目されている気がした。というより確かな視線を感じた、多方面から。
いやいやいや、注目とかしなくていいですよー!みなさんちゃんと練習してくださーい!顧問の先生ー!ここに部活サボってる人めっちゃいまーーす!罰ゲームあたえてくださーい!注目とか慣れてませんからー!
たーすけーてくーださーーい!


14


「おい、高橋それって…」
「まって、宍戸くん。それっての先は言わなくてもいいよ」
いやな予感しかしない。
「つまり浮気しなければ良いってことか?」
「Oh my gosh...」
はるこ、14年の人生、一番の失態。あーあーあーあーなんてことしてるのわたし!
確かに今の言い方は浮気しなければ彼女になってもいいと捉えられる…?ってこと?待って待って、お友達はいいけどいきなり彼女とか。ってかこの場に忍足がいなかったことだけが唯一の救いだよ。あいつ絶対大げさに捉えてこの話がさらにこじれることになってしまう。

「はるこちゃん…今なんて…」

カランカランカラン…というラケットが落ちる音と声のする方を恐る恐る振り返ると絶望感に打ちひしがれたような顔をした忍足がいた。
おわった

「あんなに跡部のこと嫌がっとったと思っとったのにそうじゃなくただ跡部の唯一の彼女になりたかってんな…」
「いや、待って。勘違いやめて?」

はるこは必死で場を取り繕う。

「え、だって普通でしょ?浮気する人いやでしょ?だからお断りっていう意味で決してわたしと付き合うなら他の女と別れてよ!とかそういうニュアンスは一切含まれていないわけであってね?」
「…高橋、」
宍戸くんの痛々しい視線が突き刺さる。
ううう…どうしてこうなったの、ってかほんとそういうつもりじゃなかったのにどうしてこうなったの、ねえ…。

「なるほどな」
どうしていいかわからないこの空気の中、このプチ事件の当事者は口を開いた。
「そういうことか、なら別にいいぜ。今日からお前一本でいってやるよ」
「はあ?」
「それで満足なんだろう?言っただろ。俺は、今、お前に興味があるんだ」
「いやだからそういうことではなくて…」
そんなことされたらわたしの逃げ場が…。っつかやっぱり他の女いるのかよ!
はるこにそんなツッコミをする隙を与えず跡部は携帯をはるこの目の前に突き出した。
「今日からお前一本で行ってやる、よーく聞いてな」

そこからの流れははるこには見えているようで見えておらず、聞こえているようで聞こえていなかった。
過ぎ去る時間が早すぎて。ただわかったのは跡部がはるこのために付き合っていた女たち全員と縁を切って行っているということだった。いや何人おるねん。
「よし、これで全員だ。ついでに連絡先も全部消すか」
慣れた手つきで携帯をいじる様はとても絵になった。それはきっと容姿がいいからであって。こいつはとても神に感謝すべきであると、はるこは真剣に思った。

「ホラよ、これで全部終わりだ。確認でもするか?」
そう言ったかと思うと跡部は懐から携帯を2つ取り出しはるこに渡した。落とすまいと必死で携帯を両手で受け取りとりあえず一応なんとなく電話帳を見てみた。あっさりしていると言えばしていて見事に男の名前しかなかった。一つはプライベート用みたいで男の名前とはるこの名前、一つは企業の名前がいっぱい入ってるあまり見る気になれなかった携帯。
「あの、よくわかりました、・・・ハイ」
「それでだな、お前の返事も決まっただろう」

ハイ、以外の何を答えていいのかはるこには皆目見当つかなかった。



*
winner Atobe.


[ 15/30 ]

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