type 1

社会の授業中、クラスメイトが地図帳をパラパラとめくる中、完全に爆睡モードの隣の席の宍戸をつんつんとつついて起こし、先生に見つからないようはるこは相談を持ちかけた。

「…はあ?跡部の好きなタイプ?」

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はるこは朝の出来事を事細かく説明し(宍戸曰く、しなくてもいい跡部のモノマネまでご披露した)跡部の好きなタイプを尋ねることになった言い訳をささやき声で話した。
「なんで朝のわたしの態度から気に入られるのかがさっぱりわからなくて助けて欲しいわけよ」
「でも跡部が自ら迎えに行くなんて珍しいな」
「いやそういう問題じゃないでしょ」
「そうか…?」
宍戸が首をかしげる。自ら動くなんて今まであまり聞いたことないような気がするが…。
「ただ、第一跡部の好きなタイプなんて全く興味ねーよ」
「それいっちゃあおしまいでしょ、わたしだって興味無いわよ」
どうしてやたら気に入られているか理由が知りたいだけなんだってば。
「氷帝にも乾みたいなやつがいりゃ手っ取り早いんだけどな」
「いぬい…?誰それ」
「他のガッコのデータマン」
「ふうん、そんな人いるんだ」
はるこは見ず知らずの“いぬいさん”がくしゃみをするところを想像した。
「ま…忍足に聞いてみるか?」
「え、おしたり?わたしが?」
急に声のトーンがワントーン下がったはるこに宍戸は思わず噴き出しそうになったが必死で耐えた。一応今は社会の授業中なのである。
「いや今ラインで聞いてやるよ」
「おお…宍戸くん神…」
「まってろよ…あいつ基本的に返事早いんだよ岳人には劣るけどな」
「へー向日くんそんな早いんだ…」
「あいつ部活中はそんなことねえけど、結構携帯いじってるからな」
「へー…」
そいや向日くんのライン知らないな、また今度教えてもらお…なんて考えてるうちに宍戸くんから「返事来たぜ」と報告を受けた。
「えっとなになにー…高橋、そのまま読むぞ」
「…覚悟しろってことね、よし、すーーーはーーー。おっけ、いいよ」
「『なになに?はるこちゃんに聞かれたん?はるこちゃんも跡部の好きな女になろうと頑張ってんやな。おにいさん見直したわー(ハート)跡部は確か前聞いた時は“勝ち気な人”っていよったで確か。今は知らんけど。はるこちゃんによろしく伝えといてくれや(^-^)』…だと、よ」
宍戸ははるこの表情がどんどん曇っていくことを察しながら全文をきちんと読み、最後に文面を見せた。
「とりあえず、次の時間、3H行ってくる」
「…お、おお…」
「あと、絵文字うざい」
「いつものことだけどな」
「それにしても勝ち気…?」
はるこは首をかしげた。
「わたしのどこに“勝気”要素があったわけよ」
多分あれ頭の中で変換しきれなくてよく誤字ってるタイプなんだわ。確実に。
「まあ、もうこれはあれだわ」
当人に聞くしかない。

*
ライン、とか登場させると時代を感じることになりそうですね。


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