determination

「うーん」
「うーーん」
「うーーーーーーん…はあ」
「高橋、うっさい」
大きなため息しか出ないはるこの横で岳人はスポーツドリンクをズビーっと音を立てて飲んだ。

10


「今度は向日くんなんだ…」
「今度はってなんだよ、今度はって!」
長太郎が休憩を終え、練習に戻り次にベンチへとやってきたのは岳人だった。
「いやー女の子は男子共と違ってお悩みいっぱいなのよ」
「んだよ、それ」
「向日くんはさっき居なかったからいいよねー」
「はあ?」
「もうわたしの頭は暴君の暴動で収拾ついてないっての…」
「ああ、跡部のことかよ」
それだけで伝わるっていったい跡部くんは今までどういう行動を取ってきたのだろうとはるこは頭が痛くなった。
「お前跡部になんか言われた?」
「うん、まねしてあげよっか」
「しなくていーよ」
「『なかなか気がつえー女じゃねーか。気にいった、お前、俺様の女にしてやってもいいぜ』…って言われた」
「まじ真似してんじゃねーよ」
全く似てね―っつの!
「ねえ向日くん、わたしこれを素直に受け取るのは気に障るんだけどどうしたらいいと思う?」
「じゃあ普通に「付き合ってください」って言われたら付き合うのかよ」
「えっ…」
バッとはるこが岳人と顔を合わせる。はるこは少し嫌そうな顔をした後少し照れたり顔を隠したり。
コロコロ表情が変わるやつだな。
「付き合ってくださいなんて言いそうにないけど、跡部くんさー、顔だけは男前じゃん…」
「はあ、」
「心のどこか奥底にある乙女な感情はそりゃ一瞬は揺らぐよ?けどさ!ああいう言い方されたらさ!なんかじゃあ意地でも付き合ってやるかバーカ!ってなるよね」
岳人はハハ、と苦笑いした。跡部のやつボロクソ言われてんじゃん
「とりあえずあいつの言った強制だからなをどう撤回させっかだよー」
「お前、やっぱ面白い奴だな」
「へ?」
岳人はスポーツドリンクを飲み干すとベンチから飛びあがり宙返りをした。はるこは自然にパチパチと拍手を送った。
「やっぱフツウにここに来るだけあるよな、お前。俺、気にいったぜ」
「どういう意味?ってか向日くんまで跡部くんと同じようなこと言わないでよ」
岳人はショックを受けた。
「とりあえず、もっとお前跡部と絡めよ。ぜってーおもしれーし」
「ちょっと!人の話聞いてる?」
第一おもしろいってどういうことよ。他人事だと思ってさ。
「付き合ってみろって。俺、高橋と跡部が付き合ったらあいつ変わる気がする」
向日くんの言葉は冗談のようで少しだけ真剣な気がした。
「わたしにメリットは無いわけ?」
「なんかはあるだろ…多分」
ちょっと最後の多分が気になるけど、まあいっか。いい加減腹をくくろう。
「ちょっと最後にでっかいため息吐かせてね」
「は?」
「…はああああ、よしっ」
「え、なに?」
「うん、頑張る。なんかよくわかんないけどどうしてこうなってるのかわかんないけど転入してきてやりたいこと何もなかったし部活とか特に興味無かったしけど暇なのはやだし…」
「跡部のカノジョ?」
「…とはまだ認めたくないからオトモダチ?」
「あー、そんでいんじゃね?」
「あ。けどすっかり忘れてたフェンスの外の子たち大丈夫かな?」
気がついたらやっぱり視線が気になっちゃう。
「まだ大丈夫だと思うぜ。高橋が跡部の沢山の女のうちの1人のうちは…な」
岳人の意味ありげな言葉が気になったものの、今は大丈夫という確信を貰い、はるこはベンチから立ち上がった。
とりあえず、帰ろう!



*
とりあえず前を向く。
determination=決心


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