「……もしもし」
「名前か?」
「え、そうだけど」
正直びっくりした。まさか静雄がこんな時間に電話をかけてくるなんて。私のイメージじゃあ静雄はとっくに寝ている只今11時過ぎ。
見ていたバラエティー番組をリモコンで消して、携帯電話だけに集中する。耳に入る声はいつもより上擦って聞こえた。
「どうしたのこんな時間に?」
「あ、いや…起きてるかと思って」
「私夜型だからね」
「そう、か」
「要件がないなら切るよ」
「ま…待った!」
「じゃあ思い切ってどうぞ」
「…た」
「た?」
くぐもる声に耳を凝らせば静雄の息を吸う音が響く。
「誕生日…お、めでとう」
「……平和島静雄くん」
言いきった彼には誠に申し訳ないのだけれど。
「私の誕生日は明日だよ」
そう。私の誕生日は後1時間弱先で、だから今言われてもちょっと拍子抜けというか。心から喜べないというか。出来れば日付が変わってから改めてお願いした、
「知ってる」
「え」
「知ってて今言った。女子って日付変わった瞬間にメールとかで誕生日祝うんだろ。俺、メールよくわかんねぇし文字よりも口で言う方が早いし、何より」
「世界中で1番早く名前の誕生日を祝いたかったから」
「う…ん、そっか」
脳内の自分落ち着け。アドレナリン静まれ。嬉しくてもここは緩める頬を引き締めろ。にやけた声を出すな。
例えようのない感謝の気持ちを一点に絞る為に。
「ありがと、静雄」
それでもまだ足りなくて。
「だけどね」
我が儘な私は。
「順番関係なく」
もっともっと。
「静雄に直接"おめでとう"って言われたいなあ」
貴方が私に伝えた思いが欲しくなっちゃうのです。
「私はそれが1番嬉しい」
だってせっかくの誕生日だもの。
貪欲なお姫様
「あ、静雄」
「名前…誕生日」
「誕生日おめでとーっ、名前ちゃん」
「………………」
「ありがとう臨也」
「いやあ、直接1番に言えて嬉しいよ。い・ち・ば・ん・に」
「っ臨也あぁあああぁあ」
「臨也て静雄を弄りたいが為に名前さんに構ってるよね」
「違いない」
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知ってるか…こいつら付き合っていないんだぜ…
今日は友人の誕生日な訳でして…
静雄の行動は私がマジでやろうとして、母に止められました。
母の方が女心ありますね確実に。
友人が此処を知っていない(と思いたい)ので変ですが
HAPPY BIRTHDAY MY FRIEND !!