残酷な時
「やっぱり俺、お前が好きだ」
放課後、あの日を思い出させる青空の下、予想してなかった言葉が聞こえてきた。
あの日、というのは一護に振られたあの日。付き合って一週間たった、本来なら幸せで溢れていたはずの日。
お互い周りに知られるのが恥ずかしいからと付き合ってることは秘密にしていた。だから別れるのも簡単だった。
ごめん。俺、用事ばっかでお前のこと傷つけちゃうから、別れよう?
たったこれだけのメールに
わかった。
その一言を返して終わり。
あっさりしてるって思うかもしれないけど、嫌って言って困らせたくなかったから了解しただけのこと。最近ルキアと一護が一緒にいるのを見る限り、そういうことなんだと自分を押しつけた。
だからその後涙が止まらなくて、次の日腫れぼったい目で学校に行くはめになった。
あれから数ヶ月。
私は今、一護にまた告白されている。
「あん時は手放しちまったけど、今度は手離さないって約束する。だから……!!」「い、一護……」
「お願いだ、もう一度俺と付き合ってくれ」
「何を今更。前だって、告白してきたのも絶対離さないって言ったのも一護でしょ? だからもう、信じないことにしたの」
私がひとつ返事で受け入れるとでも思っていたのだろうか、一護は目を見開いた後に悔しそうな顔をした。でも、私が受けたあれに比べれば酷くはないと思う。
「それは悪いと思ってる。だから……」
「だから、何? ねえ一護。勘違いしてほしくないんだけど、私貴方のこと、もう好きじゃないの。わかったらもういいかな? 人待たせちゃってるから……」
そう言って開いた携帯の画面には
9月19日 16:58
と映し出されている。
待ち合わせは17時。
早くここから立ち去ろうと振り返るが、呼び止められる。
「待たせてるって……女子はみんな帰ってたじゃねーか」
「今日、彼の誕生日なの。じゃあね」
今度は呼び止められなかった。
携帯を開き、彼にちょっとだけ遅れると連絡をする。
私の胸は彼のことで一杯になった。
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