包まれて



寂しい。


どうして……?


わからない。


こんな時は彼に会いたくなる。
でも、会えない。
別に会ってはいけないわけではないし、任務中なわけでもない。

でも。
彼は副隊長であり、その上隊長は不在。
私の何倍も疲れている彼に、わがままなど……言えるわけがない。


もうとっくに日付は変わっている。
今頃布団の中かな、なんて答えの出ない自問自答をつづける。
それでも寂しさは消えなくて、泣きたくないのに涙が零れてくる。


「会いたいよ、修兵……」









「俺も……」 




振り向くと会いたくて仕方のなかった彼が目の前にいる。
でも、このぐしゃぐしゃになった顔を見られるわけにはいかない。

私は俯いて、震える口をひらく。
「何で、いるの?」
「会いたかったから。てかお前、我慢しすぎ」


もっとわがまま言えよ、と私の後ろからまわっている手の力が強まった。



「おれ、そんなに頼りないか?」
「違う、そんなことないよ。でも……」
「でも?」
「重いでしょ? 修兵は疲れてるのに」
「んなことねーよ。こんなこと言うと気持ち悪いって言うかもしんねーけど……俺の一番の癒しは零だ」




「だから心配すんな」



彼の優しい温もりに包まれて目を閉じる。


目覚めて初めに映ったのは安心しきった彼の顔。




「大好きだよ、修兵」





彼の顔がより優しく見えた……







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