改めて



目を開けて、まず広がったのは真っ白な壁だった。右を見て、左を見て、また前を見る。視界に広がる物は殆ど白いが、真ん前に広がる壁は壁ではなく天井であることがわかった。
呼吸をおいて、自分の身体を動かしてみる。手足は一応動くようだが包帯を巻かれている。胸のあたりも同様に包帯に巻かれていて息苦しい。
不意に扉がノックされ、返事をする前に開け放たれた。

「ごめんね、遅くなっちゃった」
「……零?」

彼女は目を見開いた。普段感情をあまり表に出さない彼女のその表情は、幼なじみの俺でもあまり見たことのない貴重なもの。
「カカシ、起きたの?」
「うん」
「よかった……」


彼女は、別人ではないかと疑ってしまうほど感情を露わにしている。それが自分のせいだと思うと悲しくもあり、嬉しくもあるから不思議だ。


「ところで俺、何でここにいるの……?」
目を開けた時から抱いていた疑問をぶつけてみる。確か、ナルト達と任務に行って、敵とはちあって、それから……


「カカシは……ナルト君達に降ってきた大量の千本をまともに浴びながら敵を倒した」
おかげで、彼らはもう退院してる。


そういえば、そうだった。
簡単な任務の帰り道、上忍レベルの忍に襲われた。もちろん、下忍のナルト達が刃向かって無事でいれる相手ではない。追いつめられた彼らにとどめを刺さんばかりの千本の雨。それをもろに浴びたということは……


「もしかしなくても、死にそうだった?」
「うん。私がついたときには意識は朦朧としてて、そのあとすぐに倒れた」
「そっか……」

零に悲しい思いをさせてしまったことは容易に予想がつく。でも、仲間を大切にすることは自分の信念であり、譲ることはできない。ただ、身近な者の死を、また零に植え付ける事は避けたい。
都合がいいといわれてしまえばそれまでだが、思いは変わらない。これは偉大なる師が教えてくれたこと。



「ね、カカシ。もう無理しないでよ?」
「うん、ごめんね」




どこからともなく、小さい水が溢れ出した


改めて
(大切なことを実感しました)

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