007 切断


#カカシ#


「……好き」
ぽろっと口から出た言葉に後悔する。
静かな部屋で彼に包まれている今の状況で、聞こえていない可能性はゼロに等しい。おそるおそる顔をあげれば、予想通り彼の目は見開かれていた。いつもは隠されている目や口も今は隠されていないのでその表情ははっきりわかる。
「あ、違っっ…ただ、カカシの香水好きだなって思っただけで、その……」
焦ってしまって余計言葉がでてこない。口を滑らせたこととか、それに動揺してることに涙が出てくる。そしてそんな自分が情けなくて、溢れる涙は留まる気配を見せない。

泣きじゃくる私の頭を宥めるようになでる彼は本当に優しいと思う。
「ごめっ……今すぐ泣きやむ……から……」
「いいよ、泣きな?」
……ほんと、ずるい人。一言だけ拒絶の言葉をはいてくれれば、私は諦めがつくのに。任務に支障をきさない自信はあるから、迷うものなどないはずなのに。その一言をくれない。
前々からこんな関係をずるずる引きずって、今でもたまにこうやって2人きりでの任務の帰りには奮発して旅館をとって。
カカシに今の彼女ができたとき、一度離れようとした。けれど彼はそれを望まなかった。そしてそれを受け入れた。

邪魔者は私。



けどそれも今日でおしまい。
決して言ってはいけない言葉を私は発した。
こんなの、カカシの望むカタチじゃないもの。



涙を拭ってまっすぐ彼の顔を見た。




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