003 滑る液体


#ナルト#


「ねえ、ナルトくん。もうちょっとそっちいってもいい……?」
ナルトの家にお邪魔してからどれくらい時間がたったのだろうか。彼は3年間の修行も終わり、先週彼は帰ってきた。久しぶりに話したいからと言って訪ねた彼の部屋は2人でいるには少し狭いが1人なら調度良いように思える。太陽が降りた薄暗い部屋で2人きり。

決して居心地の悪いわけではない静寂がこの場を支配している。ちらりと彼を盗み見ると、先ほどの任務で疲れてしまったのか、しきりに目を擦っている。

「ナルト君、大丈夫?」
「ああ。ちょっと眠いだけだってばよ」

そういった彼の目はもうすぐ溶けてしまいそう。なんて無防備なのだろう。なんだか母性本能をくすぐられているような気がして、それと同時に少しいじめてみたい衝動にかられた。


「いつもはかっこいいのに今のナルト君は可愛い」
「な……っっ!?」
彼は口をパクパクして、言葉もうまく話せないようだ。もし電気がついていたら、そこには真っ赤に染まった顔が存在することは容易に想像できる。



「でも……」
片手で彼の袖を掴んで、少し下を向きながら彼を見上げる。もちろん、少し顔を赤らめ恥ずかしさをこらえるかのように。
急に変わった雰囲気に、彼が戸惑ってるのを感じながらも言葉を続ける。

「もしも、さ……もしも、私が敵……だったら……ナルト君は……」
そのまま彼の胸に頭を預け、もたれ掛かる。顔は下を向いたまま、服を掴む手と声をふるわせて。残った手を彼の背中に回すと彼もぎこちなくその手を回してきた。
彼が今どんな顔でどんなことを思ってるかなんてわからない。もっとも、知る必要などない。





小さく息を吐いて、それから溢れんばかりの笑顔で彼の顔を見上げる。
「ナルト君、殺されちゃうよ?」




素早く手刀をくらわせると、そのまま気絶してしまった。その後、致命傷にならないギリギリの傷を彼に付ける。彼から滑り落ちてくる大量の赤。これだけの血が流れれば、当分意識は戻らないだろう。血溜まりに足を踏み入れれば、ちゃぽんと音が鳴った。






「終わったか?」
「見ての通りです。これで正式にメンバーに入れてもらえるんですよね、リーダー?」



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