私の本気


『ただいま、電話に出る事ができま……』
耳に響く機械音はいつもより冷たい。
まったく、いつもならすぐにとはいかないものの一時間もすれば返事をくれる。なのにどうして、こういう時に返事をくれないのだろう。

“ばかまるさ〜ん、
 生きてますか〜(*^ ^*)”

とメールを送って携帯を閉じる。
他にやる気が起きないけど、でも何かをしていたくてテレビをつけた。偶然ついたのは、こないだレンタルビデオ店で借りようと思っていた映画の予告番組で。すかさず録画予約をしてから、リアルタイムでもそれを見ることにした。

あ、この人の声、カカシ先生に似てる……
そんなことを思いながら異国の映画を楽しんでいた。……はずなのに。

『すまねえ、零。遅くなっちまった。で、なんかあったのか?』
「え、あ、うん。てかごめんね?」


自分からかけておいて、電話すんなとはいえずとりあえず謝っておく。そして、先程の決意を思い出す。それはそれはシかマルに電話をかけるさらに前のこと。ああ、緊張してきた。


「あ、あのさ、時間が時間だし、本題だけ言うね」
『ああ』
「あの、ね、その……」

電話越しに聞こえちゃうんじゃないかというぐらいに心音は大きく、そして早い。
深呼吸をしてまた大きく息を吸って……
そこまでして伝えたい言葉はただ一つ。


「好きです」

勇気のない私にはこれが精一杯。

『………本気で、か?』
「うん。こんなこと嘘なら言わない。じゃあ、それが言いたかっただけだから、じゃあね」
『あ、ちょっとま……』

シかマルがなんか言い掛けてたのが気になるけど、すでに電源ボタンを短く押した後。私の手には待ち受け画面に戻った電話が握られている




「あーあ。シかマル、なんて言おうとしたんだろ……」

その問いに答えるかのように、明るいメロディが流れだした。




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