3 side謙也 今日は俺の誕生日、朝から部活で皆がおめでとうってゆってくれたし、クラスの奴等も祝ってくれた。 毎年お決まりの、そんでもってめった嬉しい日やねん。 せやけど、誕生日なんやし、もし俺の願いが叶うんやったら、 もう一人だけ祝って欲しい人がおる。 別に好きやからとか、そんな甘い思いやなくて、ただもう少し仲良うなって、 友達って呼べるようになりたいだけやねん。 その子は、今年の夏に転校してきたんや、おとなしゅうて、あんまり馬鹿騒ぎせんのやけど、 クラスで浮く事も無くて、でもただ居るだけって感じやった。 俺なんかは、最初顔も見てもらえんかった。今は軽く挨拶する位までいっとるけど、 出来れば、もっと仲良くなりたいやん。 その第一歩として、おめでとうの言葉が欲しいねん。 隣りで白石が呆れとるのも気付かんかった俺は、目標達成のための計画を頭の中で立てながら、ちらりと彼女を見た。 彼女は一人窓の外を見とった。 side end |