ぼくは今日も夢を見る。暗いくらい空間にひとりぼっちで、膝を抱えて座り込むきみ。
こんな夢を見るのはこれで何度目だろうか、数えられなくなってしまった。僕はそんな君になにをするでもない、ただひっそりと君を見つめるだけ。そもそも夢の中の僕に身体なんてあるのだろうか。触れることさえできないのだろうか。臆病な僕は、それを受け入れずにひたすら目を働かせる。今日も君の顔は見えない。
そうして僕は朝、決まって雨音で目が覚めるのだ。



「狩屋くん」
「なに?」

「昨日、泣いてなかった?」
「えっ…」

ゆらり、眩しい瞳の色が揺れる。僕はそれに気づかないふりをする。
明らかに動揺している狩屋くんに、どきりと胸を高鳴らせる。ああ、あれは夢じゃなかったんだね。

「…泣いてないよ」

そう言って笑う君は、本当に嘘が下手だね。笑えてないのがバレバレだよ。目の下、ほんのり赤くなってる。
指摘してやりたい気持ちを抑え、伸ばそうとした手を引っ込める。現実でも僕はなにもしてやれない、ただ見守るだけ。どちらが夢かわからなくなった。
雨はまだ止まない。


刮Jの日に、泣いてる君の夢を見る




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