「隊長、知っていますか?」 半同棲状態の我が家に帰り、食後のまったりとした時間にタマキが口を開いた。 穏やかでかつ無邪気な顔は仕事中には見れない表情だ。 なんだ?と優しく微笑んでやると、テレビで言ってたんですけどと前置きをしてタマキが話し始めた。 「キスってする場所に意味があるんです」 「ほう」 「だから今日は俺も隊長にキスで気持ちを伝えようと・・・」 「タマキから俺にキスしてくれるんだな?」 言いながら恥ずかしいのか顔を俯かせたタマキにわざと確認するように尋ねた。 タマキからキスを仕掛けられることなんてほとんどない。 いい機会だと思い組んでいた腕を解いてソファーに体を預けた。 どこでもどうぞと言わんばかりに。 それを見たタマキは緊張からか、ごくりと喉を鳴らした。 「目を、つむってください」 そう言ってから手を取り、優しく慈しむように何度から撫でた。 手の上に落とされると思っていたキスは、予想外にも手の平に落ちた。 「随分積極的だな」 「どういうことですか?」 「掌は懇願のキスという意味だろ?」 ニヤリと笑ってやるとタマキの顔がボンッと赤くなった。 ち、違いますと小さく呟く声が聞こえる。 「手は尊敬のキスだって・・・」 「それは手の甲の場合だ」 え!と驚いたタマキに構わず腰に腕を回す。 明日も仕事だから控えておこうと思ったのに、こんなお誘いをされたら乗るしかないだろう。 腕をひくとタマキがまた声を上げた。 「隊長、知ってたんですか?!」 「知らない、とは言ってないだろ?」 うぅ・・・とまた騒ぎ出しそうな唇を塞いだ。 もちろんこのキスにだって意味はある。 「ここにキスしてくれると思ったんだが」 「・・・」 耳元で息を吹き掛けるように囁いてやる。 それから首筋に唇を寄せて滑らせた。 くすぐったさにタマキが身をよじる。 「そして今のは俺の気持ちだ」 わかるだろ? そう言って顔を覗き込むと、小さくキヨタカと呼ぶ声が聞こえた。 名前で呼ばれるということは、これからは恋人の時間ということで。 ゆっくりとタマキをソファーに押し倒した。 キスをひとつ (首へのキスは欲望のキス) |